2017/5/3 『バンコクナイツ』 『バンコクナイツ』をみなみ会館まで観に行く。 この日は、監督・脚本/富田克也さんと、共同脚本/相澤虎之助さんの舞台挨拶に加えて 勇造さんのミニライブがあった。 英語表記すれば「BANGKOK NITES」…ん?NITES? 調べてみれば、口語でNightをNiteとすることがあるらしい。 まずはそこから始まった映画の入り口。 娼婦・楽園・植民地をテーマに、全編が海外で撮影されている。 「楽園はどこにある?タイの娼婦たちと日本人が織りなす失われた桃源郷を取り戻すための旅が始まる…」 バンコクの日本人専門の歓楽街タニア通りの 人気店No1ホステスのラックの生活を中心に その背景、闇、そしてそこに絡んでくる金を目当てとする人たちの人間模様が描かれている。 ベトナム戦争のときに、アメリカ軍とタイ政府との間で交わされた "R&R”(レストアンドレクレーション)というベトナムで戦うアメリカ兵のために休暇と保養を タイ政府が提供するという条約が締結されたことで タイに100万人を超える娼婦が生まれた。 タニア通りの現状も明らかにそこから生み出されたもの。 多くの娼婦などのバンコク労働者の供給元となっているイサーンには、彼女たちの支えるべき一家がある。 中には薬まみれになる人も。金をせびる家族もいる。 だから悪い、というのとはちょっと違う、深いため息のような背景。 そういう生活を強いられている中で、一家の生活を支えて生きる人たちのしたたかさをも感じた。 テーマがいくつも並行しているので、まだ私の中で未消化部分がたくさんある映画だけれど そこで生きる人たちの、善悪だけでは語れない生活が見え隠れしているように思った。 映画の中では多くの音楽家との繋がりもあり なんと、あのカラワンのスラチャイさんも幽霊の役で出演。 その橋渡しをしたのが、勇造さんだったという話。 そして、映画の最後、エンドロールのバックに流れるのは 勇造さんのギターとソウブラ三線の山村くんとの満月だった。 どこかで繋がっているアジアの子…それがうれしかったね。 3時間という長丁場の映画のあと 左から富田克也さん(監督・脚本)と相澤虎之助さん(共同脚本)の舞台挨拶のあと 勇造さんがタイ語と日本語を交えて「満月」を歌われた。 終わってから、普段あまり買わない映画のパンフレットを買う。 それだけ私にとって謎の部分が多かった、ということかもしれない。 文字を追って正確な情報が知りたいと思った。 パンフレットを買って並び、3人からサインを戴く。 私たちが並んだ際、勇造さんがお二人に私たちのことを「僕のダチ」って紹介してくださり(!) 更に、カンチのことを「彼も満月を歌います」と。 感謝とともに、ほんの一瞬でこれだけ頭が回ることに、感心してしまう。 どんだけのキャパがあるの?って。(笑) そうそう…監督さんには、エンディングの三線を弾いているのが友達です!って 自慢してしまったよ。 カンチはもうすぐ一緒にライブをするってことまで話してた。(笑)>山村くん 「空族」 …聞きなれない言葉。 富田克也さんや相澤虎之助さんが作っておられる映像製作集団。 現地にこだわり、そこで長い構想を練って撮っている。 パンフレットを持ち帰って、合点した。 富田克也さんに首をひねってた。観たことあるような…って。 なんと、まさかと思ったけれど、主役の「オザワ」をご本人が演じておられたんだった。(笑) これはすごいこと。 テーマが大きいし、いくつもが並行しているように思うので 意味が分かりにくいという酷評もあるけれど そこにある大きな愛情は間違いないし、アジアにあって描きたかったものは確かに見えた。 タイの犬の話がでた。 一切首輪をしていないし、近寄ってきてご飯を貰ったあとは、ふいと消えてどこかに行ってしまい また戻ってくるその自由さが目についたという。 そういえばタイで出会う犬は、みんなけだるそうな目をしながらも、のんびりとひんやりするコンクリートに オナカをべったりくっつけて転がっていて、そこを跨いでも、ウンともスンとも言わなかったなあ。 そ…吠えられた経験がないわ。 犬も明らかに「タイバージョン」がある。 勇造さんが舞台でおっしゃっていた。 勇造さんがその国を知る3つのことがあるという。 1、空港の様子 2、ゴミの様子 3、犬の様子 まず、1の空港は、そこの絨毯などでその国の豊かさ、貧しさがわかる。 2のゴミではどういうものが捨てられているか。ニューヨークではまだまだ使えるものがゴミになっていたという。 そして3の犬では、ニューヨークではいろいろ窮屈そうな衣装を着せられて首輪に鎖をつけられていたけれど アジアでは犬はほかの生き物と同じように自由にしている。 お国柄がそんなところに出るんだね。 この日はオールナイトで空族のほかの映画も上映されるとあって 11時を過ぎているというのに、たくさんの人が並んでいて、階段にまで列ができている。 オールナイトってこんなに人気があるの?と、知らない世界を覗いた気分。 そんなこんなもあってか、館内にタイカレーのミニ屋台まで出ていて みなみ会館はカレーのいい匂いが充満していた。 このあたり、大きな映画館とは一味も二味も違う、小さな映画館だからこそできる企画。 京都はもっとアジアになったらええのに…勇造さんが舞台の上から最後にそうおっしゃっていた。 なんとな〜くわかる。 そうなれば、もっと楽になるかな。 |