2011/10/2 with 続木徹 ゲスト:延谷旨俊 OA:中村“たこ”達紀 ここは中村“たこ”達紀くんのお母さん、中村知子さんのピアノバー。 グランドピアノが置かれている。 カウンターの隅には、勇造さんのLPが立て掛けられていた。 「さあ、もういっぺん」…このLPを飾られた意味を思う。 |
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歌を作ってる かわいい酔っ払い お陰で僕は 今日は2人の勇造さんがいはります。 そう指さすLPには26才の頃の勇造さん。 そして、会場には62才の勇造さん。 2人の勇造さんに見守られて 歌い始めた中村“たこ”達紀くん。 今日はお母さんのお店でもあるし 気合いが入っている。 歌い始めた最初の頃から知っているけれど 本当にうまくなった。 歌が、ギターが、好きでたまらないという気持ちが ひしひしと伝わってくる。 彼には「歌心」がある。 |
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中村“たこ”達紀くんの「歌を作ってる」の アンサーソングとして いきなり大文字から始まったのには 意表を突かれた。 まずは続木さんと息を合わせる。 |
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ギターのジャリジャリとした軽いストロークに ピアノが水の流れを感じさせる背中 終わってから、私の隣に座っておられたSさんが 「はあ…」っと大きなため息をつかれた。 たぶん、息を飲んで聴いておられたんだろうと思う。 そのため息に勇造さんが嬉しそう。 |
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背中の勢いを残して果敢に攻めて曲を始めた勇造さん。 続木さんが「キーが違う」って慌ててはる。 どうやら勇造さんが間違われたみたいで(笑) 仕切り直しの長崎帰り 最後の♪世界なんか…の一息おくところで、ギターをポンと叩く。 それが合図のように曲が勢いを増してラストに向かう。 世界なんか死ねってなかなかこの時節、歌いにくい感じがしているんですが ここでならええやろと思って歌いました。 誤解する人はいない。 |
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優しいピアノが広がっていく。 まるでゆりかごに揺られているよう。 |
ラブソングです、と夢で会いたい |
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ここでCDや本の紹介を。 一番買ってほしいのは…と一息置いて全部ですって。(笑) その中で「血を越えて愛し合えたら」は残り20枚になっているそうな。 買うなら今…勇造さんもだんだん営業上手になってきはった。(笑) MANDA-LAUでは年に2回、グランドピアノでトオルとやっていますが 関西でグランドピアノでやるのは、もしかして…初めてかな? いえいえ、その昔、バナナホールで録音された「ホールド・オン」の時以来。 どちらにせよ、グランドピアノを弾かれる続木さんに関西でお目にかかることは少ない。 弾き手がいいから、ピアノは選ばないとはいうものの 気分や存在感がだいぶ違うのも確かだから この違いは大きいのかもしれない。 特にプレーヤーにとっては。 |
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拾得でも出演されていたサックスの延谷さんが加わって 好きなもの やっぱり最後は、好きなもの それは東北〜♪ |
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続木さんと2人でそれで十分 続木さんのピアノは ジャズの色合いがしていた。 自分の思いをピアノに乗せて 自在に指が鍵盤の上を走っている。 |
今、このそれで十分が 勇造さんにとって外せない曲になっている気がする。 |
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ラブソングのようでラブソングでない…という説明で センシミーナが始まった。 この曲はトオルと一緒にやる曲の中でベスト3に入ります。 最初にピアノの音を聴いただけで 心がしっとりしてくる気がする。 ピアノの音色が頭の上から降りてくるよう。 そのピアノをギターが追いかける。 絶品。そして、切ない。 |
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さあもういっぺんのLPから 珍しい曲、東へ西へに展開する。 若いころ、岩国に4人で出かけたことがあって その内3人がキセルで捕まって…(笑) その時捕まらへんかったのが俺で… ここでお〜っと歓声が沸く。 キセルしてなくて、えらいという意味合いの。 ところが、俺が捕まらへんかったのは >え?やったの? 荷台の上で寝てたさかい… 見逃してくれたんやないかなと。 荷台で寝ている勇造さんを想像して笑ってしまった。 時代を感じる話だった。 |
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今の気候になると思い出しますと ケーブルカーが着いており返すあたり サンフランシスコの路面を走るケーブルカーのこと。 ♪観光客がアイスクリームを食ってる この「食ってる」を「売ってる」と聞いて 首をひねったファンがいたとか。 20年以上歌ってなかったという珍しい選曲。 どちらも、1枚のLPから広がっている。 |
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中村知子さん…中村“たこ”達紀くんのお母さんが呼ばれ、続木さんと連弾。 更に、中村“たこ”達紀くん、延谷さんと舞台は満員。 始まったのは、ブルージーなライトニン・ホプキンス 久しぶりに聴く。 大好きな曲なので嬉しい! 途中、中村親子に演奏を振る勇造さん。 中村“たこ”達紀くんがピアノに近づいて行く。 ピアマータならではの味付け。 ここらあたりの演出は、流石に勇造さん。 |
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もう1曲、アメリカの小さな町の歌ジャニスになれなかった女の話 自分が映画を撮ることができるのなら この歌の物語を白黒で撮りたいと勇造さん。 ゆっくりとけだるいギターの刻み。 歌の合間にピアノの高音が浮き出てくる。 最後は続木さんの長いソロで終わる。 勇造さんは座ってそれを聴いておられた。 |
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虹の歌…続木さんとのこの歌を聴くのは初めて。 ピアマータに虹がかかった。 |
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延谷さん、中村“たこ”達紀くんも加わってNO NUKES ONE LOVE GOOD MUSIC 中村“たこ”達紀くんと中3のころに会ったときの話をされた。 以来、会うたびにうまくなってる、と言われると 中村“たこ”達紀くんがギターをちょっと弾いた。 それを聞き逃さなかったのは、他でもないカンチ。 「今ギターで返事した!」って叫ぶ。(笑) その声に、勇造さんもそうやんな!って相槌を打って嬉しそうに笑っておられた。 このあたりはギター弾きにしかわからない…(笑) |
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アンコールの最初は海の始まり 自分自身にとっても、もう一度海の始まりとしたいなと思って。 あの東北のことを思う。 勇造さんの緩やかな決意を感じた。 |
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ここはPAがええし、叩いて帰りますと花の都ペシャワール 最後のカーン♪という一叩きで終わるのではなく その余韻のあとにピアノが入ってきた、続木さんとならではの味付け。 |
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挨拶のあと、勇造さんがいつも無口な続木さんに振られた。 1人マイクの前に立った続木さんの口から 思わぬことに、じっくりと…勇造さんに言わせれば原稿用紙20枚という分量の(!) 勇造さんとの出会いが話された。 最初の出会いは勇造さんが20才、続木さんが19才の時。 場所は拾得だった。 勇造さんのライブに、続木さんがたまたま訪れ 曲を聴いていたら、なんかピアノが弾けそうに思ったんだそうな。 気が付くと、舞台の右にあったピアノのふたを開けていたという。 1曲弾いて、文句を言われるかなと思ったら やるやんけ!と勇造さんに言われて 次の曲のコード進行を教えてくれたとか。 結局最後まで一緒にライブをやったという。 そしてライブが終わってから、勇造さんに バンドをやろうと思うので、キーボードが足らないからやらないかと誘われたという。 続木さんによれば、いつも勇造さんとは「同じ」気持ちでやれる。 音であいさつするというか、NOリハーサルでも大丈夫で、波長が合う。 40年の付き合いになるけれど、初めてのころの気持ちがいつもあって 通じ合えているという。 まさにミュージシャンならではの通い合いがあるなあと聞いた。 最後に演奏中のみなさんのイラストを 中村“たこ”達紀くんのお姉さんが描いてくれたと 色紙を手渡される勇造さん。 壁にサインを… 続木さんはハートに色を塗ってお茶目。(笑) 勇造さんはダイナミックに…(写真中央) また来年もやれたらいいなと… |
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東北では、「歌旅日記」初版本にも出てくる古いファンの人たちにお会いした。 勇造さんと交わされる懐かしい話の中で 「その時」がまるで昨日のことのように鮮やかに蘇っていた。 そこにはファンよりも、もっと身近な空気が流れていた。 40年以上の歴史、信頼関係が見えた。 普段無口な続木さんが語られた勇造さんとの関係は 全幅の信頼の中にあった。 お互いに年数を重ねてうまくなっているけれど、気持ちは会ったころと同じだという。 前日から残っておられた延谷さんも すっかり勇造ファミリーに融け込んでおられた。 勇造さんに影響を受けた人たち。 カンチもそうだし、中村“たこ”達紀くんもそうだ。 勇造さんのライブのほんの端っこにいられることの喜び。 その暖かい配慮に、勇造さんはこの40年間の思いを返しておられるような気がする。 人を育てる…そんな言葉はちょっと硬すぎる。 一緒に音を育む、それが自然体から染みだしている。 よい年を重ねておられるなあと思う。 愛された分 愛し返せたら… それは、人を受け入れるところから始まっている。 若い時にもがいたその思いは、ここに着実に形になって実っている。 勇造さんに人が吸いこまれ、勇造さんの周りを緩やかに回ってまた 大きく外に飛び出していく。 勇造さんの回転はますます大らかに、大きく弧を描いている。 東北を実際に見て感じてこられたあとの 全てを含んで受け入れたことが伝わってくるライブ。 愛された分 愛し返せたら… 勇造さんの新しい海の始まりを予感させるライブだったと思う。 |