Yuzo Gallery Top  2007



2007/9/29




バースディライブ以来のバンドのライブ。
きっと、メンバーもワクワクしてはるんやろなって思いながら
元気を盛り返した体で拾得へ向かう。
あとで聞いたところによると
誰よりも勇造さんが楽しみにしてはる様子。
前日はまるで遠足前のようだそうで…(笑)

舞台前のテーブルには、新しいCDが飾ってあった。




ギブソン345を抱えてライブの幕が開いた。

久しぶりに聴く、
もう一晩お前と
ディランの『ONE MORE WEEKEND』が浮かぶ。
ディランを絡めてライブを始めたい、何かがあるんかなあって。
バンドは最初からうねっていた。


      1部

もう一晩お前と

ブンミー
夢で会いたい
キッス・バルセロナ
長崎帰り
カントリー・ミュージック

南風楽天でよく耳にする歌、



予定では
エレキからアコースティックギターに
持ち替えるはずだったみたいな仲さん。
それを、勇造さんが「そのままエレキで」と耳打ち。
きっとそんな気分になられたんやね。


♪もうすぐ メシが炊ける
♪ああ いいニオイ
♪金よりも 何よりも 大切なもの
♪それは 米

歌の中で
「秋になったら」
「米ができて」と
合いの手をいれながら…




修理から帰ってきたばかりのハミングバードに持ち替えて。
晴三さんはカリンバ、仲さんはエレキのままで
ブンミー



揺れるような曲奏。
曲の上をカリンバが撫でるように流れていき
敬明さんの振るレインボックスが加わって
しっとりと切ない雰囲気。
勇造さんの声の高音部分が繊細で
今にも消え入りそう…



「今日はこのままのTシャツで
 最後まで着替えずにやります」

いつもは2部で着替えがあるのに
今日はそれがないという。
それをわざわざ宣言された時
ピン☆と来た。
きっと、あれがいいたいんやって。

最後はサラリとギターを弾き
右手を外して
左手だけでビブラートを効かせて終わった。




仲さんがアコースティックギターに持ち替えて
夢で会いたい



その演奏に
思わず勇造さんの顔に笑みが…


「今回、仲くんと2人でタイで録音したんやけど
それを他のメンバーが“イチャー”して。」

ん?“イチャー”?(@_@)

「“イチャー”っていうのは
タイ語でうらやましがるってことやねんけど。(笑)」


バンドの「夢で会いたい」は分厚い。
勇造さんの「カーンカ カカン♪」という
口でとったリズムに合わせて
永見さんのドラムが
底からわき上がるように始まった。



仲さんのギターがメロディック。


ファン最高齢の石田さんと
結婚式のお祝いに呼ばれた西川さんのことを思い
作ったという、
キッス・バルセロナ
思い切った出だし。







この結婚式では
西川さんを驚かそうと
「勇造さん」をプレゼントにした企画があって
勇造さんはパーティの行われている2階で
ずっと2時間、出番を待ってはったそうな。
なんか、みんなお茶目!(笑)






長崎帰りはバンドの迫力を更に感じる曲。
音の切れ味がよく
言葉が鋭く生きてくる。



「今日は中・高校時代の英語の先生が来てくれてはるから
 ええ意味で緊張してます」といいながら
先日の都雅都雅で初めて聴いた
カントリー・ミュージックで、「長崎帰り」の熱を冷ます。
サックスが入ると、また曲が違ってくる。
敬明さんのハープが濁った音で
カントリーの「素朴さ」を出している。

      2部

大好きなライブハウス(ソロ)
そんなんやない(ソロ)
旅のスケッチ(ソロ)
フリー・アウン・サン・スー・チー
大きな自由
バーン・サバーイ
スイート・ホームKYOTO


最初のアナウンス通り、1部と同じTシャツのまま
2部のソロが始まった。

ここで、拾得で行われている
月に一度の「飛び入りライブ・デー」の話を。
「飛び入りライブ・デー」に知り合いがでるというので
行かれたそうな。
この日は、1人3曲15分で13組が歌った。
一生懸命に歌うその姿に
拾得で歌えるということが
どれほど歌い手にとってすごいものであるかを
改めて感じられたという。
「そこで俺らはチャージまでもろてるんやし、幸せなことや
どっ」って
振り返ってバンドのメンバーに言われた。(笑)

始まった曲は、もちろん
大好きなライブハウス









そんなんやない
客席にはこの歌の出来る元になった
欅を守る会の人たちの姿があった。
いろんなところで、いろんな人との
真心込めた付き合いが見える。

テリーさんにリバーブをかけてもらうようお願いされて
みんなも声を揃えて
♪な〜い な〜い な〜い♪と歌う。
その合間にテリーさんの絶妙な?リバーブが入って
曲がいつまでも続く。

こんなに長い曲やったっけ?(笑)






旅のスケッチ
歌の中にでてくる
たかちゃんと、ななちゃんと、のんちゃんについて
少し説明をしたあと
その人たちが、もう20歳を越えていることを思ったとき
「歌にしといてよかったと思う」としみじみと。
それは
「そんなんやない」の欅のことも一緒だと
付け加えはった。







ここからはエレキに持ち替えて、バンドで。

今日出来たという歌、
フリー・アウン・サン・スー・チー
やっぱり、これやったんや…歌が始まった途端、頷いた私。



♪もう永い間囚われの人 家族とも友達とも祖国とも
 隔たれた悲しみはきっと どんな深い海よりも深い

♪もう永い間囚われの人 朝の市場で買い物も出来ず
 ヤンゴン川のそよ風に ふかれることも叶わず

♪もう永い間囚われの人 でもいつも姿はりりしくて
 髪に一輪の花を挿し 話せば人々が集まってくる  

♪もう永い間囚われの人 あなたを慕う人達が
 世界中の街角で あなたの写真を掲げて歩く 

♪パリでローマでニューヨークで バンコクでマニラで大阪で
 あなたの写真を掲げて歩く こぶしをかざして口にする 

♪FREE アウンサンスーチー デモクラシー ・イン・ビルマ・ナウ
♪FREE アウンサンスーチー デモクラシー ・イン・ビルマ・ナウ

♪あなたをとらえる者たちは ほんとうはあなたが怖いのだ
 彼らにも分かる時がくるだろう 彼らこそ囚われの者たちなのだと

♪FREE アウンサンスーチー デモクラシー ・イン・ビルマ・ナウ
♪FREE アウンサンスーチー デモクラシー ・イン・ビルマ・ナウ

            (堀川の泰ちゃんの書き込み および 勇造通信より引用)






勇造さんの思いがうねっていた。
それでやったんや。
今日の勇造さんはいつもと違う。
何より、目が違う。
目の中に悲しさと辛さが映っていた。
芯から笑ってないその瞳が
全てを語っていた。






思いを続けて、
大きな自由を。
何度も聴いた曲だけれど
これほど意味を持って響いてきたのは初めて。
ぶつかりあうような、バンドの演奏だった。

「20年前、バンコクにモノが余り無く
 飛行機に乗ってラングーンに買出しに行ったというくらい
 ラングーンは香港より豊かな街やったんです」
と、ラングーンの今を憂う。
『歌旅日記』の中にある
街で出会った、ギターを一緒に弾いた少年のことを思われている。
無事でいてねって、私でさえ思うんだから
実際にその少年、場所を知っておられる勇造さんは
どれほどその願いが強いか…



踊る晴三さん。
芸風が変わったと言われつつ
右に左に大きく揺れて…
写真を写すのに、本当に困る。(笑)












ハミング・バードに持ち替えて
「バーンというのは家、サバーイというのは気持ちいい、という意味」
と、紹介しながら、
バーン・サバーイ
何度聴いても優しい。

陸続きで、こんなに優しい場所もあるというのに…ね。






スイート・ホームKYOTO
♪アジアの片隅 スイート・ホームKYOTO
 ♪アジアの片隅 スイート・ホームラングーン
アンコール

帰郷
満月




「アンコールは、タイ式に帰らずに2曲やります」と
そのままステージは続く。

「盛岡で北上川の支流に鮭が帰ってきたというニュースがありました」
と、まずは
帰郷を。

この頃思う。
自分のルーツというのは
どうしようもなく自分に関わってくるって。
それが面倒な時もあるけれど
いとおしい時もある。
関わりは物理的にとれても
精神的にはとれないものかもしれない。



演奏に比べて、勇造さんが妙に静かで色っぽい。














はや、クリスマスライブのお知らせ。
そして、着替えなかったTシャツの話を。
胸に描かれたのはハトと、タイ語で「民主主義」という文字。
「いつおろそうか(新品を着るという意味)と思ってたけど
 今日、このTシャツを着て歌いたいと思った」
この気持ちをどこで表すかを考えられた時
「自分の場所で歌おう」と思われたそうな。


訴える場所、行動を起こす場所はひとつではない。
この日の勇造さんを「私」が語ることで
次にまた輪が広がっていく。
少しずつ、ひとつずつ…


最後は、「いろんな思いを込めて歌います」と
満月
のどかで、戦いとは縁のない田園風景が見える。
それが現実と対比して、胸に迫ってくる。















サックスの高音が響き渡っていた。






丁寧にお辞儀をして、ライブは終わった。









東北のツアーから帰られたばかりの勇造さん。
都合で、「今回は北から下りてくるねん」と
行く前におっしゃっていた通り
タイ帰国から初めてのツアーは、青森から始まっていた。
今回は飛行機でなく
前から乗りたいと思っておられた寝台車で向かわれたそうな。
「8時50分に京都を出て、青森に着いたのが11時30分やった。」
って、午前か午後かがわからないけれど…
だけど「すごく」時間のかかったのはわかる。(^^;)
その上、寝台車ってのがいい。(^-^)

人はこの頃、なんでも早く、簡単に済まそうとしがち。
それが便利ということだし、簡単だし、なんだか得したようにも思えるし。
でも、その余った時間を何に使っているかって考えてみると
また次の忙しさに使ってはいないだろうか。
どこまでいっても、「次」が待っている。
止まることが怖いかのように
息をつく暇がなく「次」が待っている。

私はたぶん、これを読んでくれてはる人たちより
随分とスカスカの生活をしているはずだけれど
それでも、入院して時間が少し止まった事で
いろいろ考えることがあった。
時間が私にそれを求めてきた、と言っていいのかもしれない。
日ごろ忘れていることを、少し考えた。

空いた時間というのは、決して無駄ではないと思う。

飛行機じゃなく、寝台車。
勇造さんはそこできっと
いろんなことを考えられたのではないだろうか。
それはいいことばかりではなかったかもしれない。
周りを見渡し、自分の好きな場所のことを思い
心痛めておられたのではないかと想像する。

自分の時間を取り戻したい。
そしてそこで、自分を取り戻したい。
そうでなければ、相手のことも考えられない。
自分を大事にしなければ、きっと相手も大事にできない。

まずは足元から…

この頃ご飯が美味しい。(^-^)
スプーン2杯のお粥を食べあぐねた、あの日々を思うと
どれほど幸せなことかと、食べるたびに思う。

当たり前のことが当たり前でありますように
人が当たり前に生きられますように。
とてもささやかな願いなんだから
誰もがそれを叶えられますように。
よもや、そのために人が苦しむことがありませんように。

そう願わずにはいられないライブだった。





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