Yuzo Gallery Top  ◆2007



in 都雅都雅

2007/9/16

諸口あきら・豊田勇造
SAM(赤木一孝・松崎博彦)


諸口あきらさんを中心にした、ホーム・スイート・ホーム京都Vol,Vが
四条寺町の都雅都雅で行われた。
Vol,Vの言葉通り、3年目になる。
私は今回が初めて。
都雅都雅も、数年前に友人のライブで行って以来だ。




諸口あきら、豊田勇造、SAMの2人が舞台に並ぶと
なんだか不思議な光景になる。
勇造さんとSAMの2人…ふんふん…
そこにウエスタン・スタイルで固めた
ギターよりもおしゃべりという諸口さんが並ぶと
味付けが一変する。



諸口さんがとめどなく話される。
話題が豊富だから、1つの話から次々に繋がって
まさに流れるように話が続いていく。
そこに、勇造さんの妙な合いの手が入る。

話は更に盛り上がる。

私の位置からはスピーカーに隠れるような場所の
SAMの赤木さんは、そんな様子に、そ知らぬ顔。
目はギターに行き、その手は「弾きたい、弾きたい」と言っている。(笑)
でも、やはり諸口さんの話は聞いている。
ハワイの話になれば、ギターでハワイアンの味付けをする。

話は更に盛り上がる。

演歌の話になると、今度は勇造さんが
「らしい」メロディーをポロンと弾く。

話は更に盛り上がる。

そこで、やおら、“ええい!辛抱たまらん!”と
それまで静かだったSAMの松崎さんが
「もうええか?!」と諸口さんの話を切る。

爆笑!!(*^▽^)ノ彡☆ばんばん!

一体、進行はどうなってるんやろ?
一体、リハは?
そんな思いにさせるフリーな出だし。

言うまでもなく、諸口あきらさんはDJ。
話すことを生業にし、それで人にメッセージを送っている人。
そしてあとの3人は、歌うことでメッセージを送っている人。
そのコラボレーションを楽しむ気持ちが出てくると
このゆるーいライブが急に面白くなる。


それぞれのソロが始まる。
最初は
勇造さん
先ほどまでとは空気が一変。
会場が勇造さんに集中する。

前日Loop139で聴いたばかりの曲なのに
それぞれが新しく聴こえてくる。
“舞台”に上がって照明があたると
ぐーんと華やかさが増し、見上げる人に。
ギターも時々キラキラ光っている。





このポーズは…私の一番心配な『長崎帰り』のラスト。
弦が…弦が……切れない。(+_+)
アドバンスト・ジャンボになってから
弦が余り切れないように思うんだけど
錯覚だろうか?







新しいCDの曲に加えて
諸口さんのリクエストである
『花の都/ペシャワール』が始まると
会場が更に息を飲んでいるのがわかった。

最後のカーン♪という音のあと
照明が落ちた。

にくい演出。
これもまた、こういう会場ならばこそ。

身近な勇造さんもいい。
けれど、こうして少し遠い勇造さんも、またいい。




前日のLoop139で予告しておられた
「諸口さんがウィスキーになる」という場面では
予想を裏切って、なかなか渋いウィスキーになられた。
その人がどういうイメージで歌を聴いているのか、
ウィスキーにどういうイメージをもっているのかが
よくわかる。
勇造さんも楽しそうだったな。(^-^)




間をおかず、諸口さんのソロ。





半分おしゃべり。
でも、ダンディさを醸し出しながらの歌には
味がある。
何より知識が豊富だから、話も歌も分厚い。
時間を気にせず、言いたいように、歌いたいように
ライブは進行する。




2部は座って始まる。





また4人が舞台に並ぶ。
この時、勇造さんが歌われた
諸口あきらさんに捧げる歌
『カントリーミュージック for 諸口あきら』は
しみじみいい曲だった。
タイで出来てホヤホヤの曲で
この日が初めてのお披露目。
これがあるから、ライブは楽しい。(^O^)
新しいアルバムにも共通するような
ゆったりとした愛情を感じる曲に仕上がっていた。
「今年」の勇造さんをよく表している。

「追悼歌じゃないだろうな」と言いながらも
歌に聴き惚れる諸口さんが横にいた。




思えば、勇造さんのメッセージは、直接的なものが少ないのではないだろうか。
ある地点まで歌い、そこから先は聴いている人に委ねる。
私たちは、勇造さんの歌われる世界に引き込まれ
その先にあるもの、その情景の導くものを想像する。
結果、多分、勇造さんの想いと同じところに行き着いているんだろうと…思いつつ。
ただ、その着地点が「点」ではなく、「エリア」として広がっているような気がする。
言葉を変えれば、許容量があるということだ。

何でもわかり合いたい、わかって欲しいと
私の答えはコレだ!と言わないと気が済まないことの多い毎日。
人がイライラしている毎日。
相手を信用できるか否か。
ゆっくり待てるか否か。
少しぼんやりした中で、人を受け入れられるか否か。

人に“思う時間、場所”を預けられる勇造さんは素敵だ。


好き勝手?に進行するライブ。
当然あとになればなるほど、時間が押してくる。
SAMの2人は
弾きたい気持ちが爆発するのでは、と思うくらい
待たされていた。(笑)



ここで、今まで隅に潜んでいた?赤木さんのMCが始まる。
これがめっぽうおもしろい!
まるで落語を聞いているかのようなしゃべり口。
私はもう、これでくちゃくちゃに笑い転げてしまった。(笑)
あとでカンチが言うのには
私の笑い声が一番響いていたって…!
うきゃ〜!\(◎o◎)/!




さてそのSAMの2人。
演奏し始めるとこれがまたよい。
さっきまであんなに笑わせてくれた赤木さんは
歯をくいしばって速弾き。
松崎さんは、決してリズムを縦に刻むのではなく
赤木さんの速弾きに、揺れるベースをつけているのがまたすごい。
まさに、

     ♪揺れてるのか 速いのか
     ♪揺れてるのか 速いのか
 (ジェフベック風)

今まで聴いたSAMの演奏の中で
一番よかったように思う。
できるなら、もっと聴きたかったな…

諸口さん、よろしく。(笑)




勇造さんが加わって…
またひとつ分厚くなった舞台。







そして最後は4人で。



赤木さんのマンドリンは
音がイキイキとしている。




それぞれの個性がひとつにまとまった。





ついにギターを抱えた諸口さん。(笑)









テーブルにビールの缶やウイスキーの瓶が転がり
袋をちぎって開けたスルメが散らばっている。
あちこちにこぼれているピーナッツの皮。
そんなテーブルの周りに、にこやかに笑い歌う男達が4人。
いずれ劣らぬツワモノ揃い。

1人はシャツに値札をつけたままウエスタンスタイルを気取り
1人は工事現場のヘルメットを被ってブラシを生やす。
また1人は、気のいい山賊のようであり
そして、国籍不明のギター弾きがいる。

それぞれが違いを認め合い、お互いを楽しんでいる。
「いじくりまわす」と面白い4人組。

そんな大人の時間を味わったように思う。

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