Yuzo Gallery Top ◆2007


2007/6/30

BIRTHDAY LIVE
 『夢で会いたい』CD発売記念





少し早めに行くと、すでに拾得の前にはファンの姿。
この場で会ったばかりの様子なのに
親しげに言葉を交わされている。
遠方から来られたらしい人の声も弾んでいる。
すでに購入したCDを見せる人。
それを覗き込む人。
それは子供の頃の、宝物を見せ合う
たわいない人との関わりを思い起こさせる光景だった。

バースディライブに
CD『夢で会いたい』の発売記念が重なるとなれば
否が応でも盛り上がるというものだ。

私もカンチも妙なこだわりがあって
この日に直接CDを買いたいと、ずっと購入を我慢していた。
ということで、拾得に入るなり、即座に並んだCDを掴む。
その様子を見たヒバリさんが
「我慢しててんね」って笑わはった。
そ…ギリギリ限界。ヾ(・・;)ナニコダワッテルン?


アドバンスドジャンボを抱えた勇造さんが
まずはソロで、
はだしの歌うたい
ライブは静かに幕開けた。



静かに軽く
ギターが電車の音をたてて終わる。


          1部

はだしの歌うたい
夢で会いたい
汽車が湖のそばを通る時
長崎帰り
瓦屋根続く細い道
キッス・バルセロナ
バーン・サバイ
高野グランドマンションのブルーズ
老いてこそロック





仲さんと一緒に
夢で会いたい
ささやくような歌い方。
それで十分みんなの手元に届く。




バンドで、
汽車が湖のそばを通る時
ベースの音が底から響いてくる。
見慣れた琵琶湖の穏やかな湖面が浮かぶ。




たくさんの人からリクエストがあって
CDに入った曲、
長崎帰り
その激しいギターと歌詞が、一度聴いたら忘れられない曲。
沢山の言葉の最後を、叩くように一言が締める。

先日のラジオでも言っておられたように
「今日はCDの全曲をやります」

しっとり置きにいくように始まった

瓦屋根続く細い道

一緒に京都の路地を歩いているように
周りの情景が見えてくる。
そこになんともいえない愛情を感じる。
勇造さんはやっぱり京都の人やと思う。


 




「敬明が録音に参加していたら、キスの音そのものを
入れてもらおうとおもったんやけど」と笑わせながら
自然に体が揺れてくるような
異国情緒漂う
キッス・バルセロナ
仲さんのギターが冴えている。
そこは紛れもなくスペイン。
録音間際に出来たというこの曲が入る事で
CDがイキイキと弾んだ。

この曲では勇造さんがパーカッションをされているので
観客にも「足踏みをしてください」と…
座敷の人が足踏みできないことに気づいて
一拍おいてから「好きなように…」って。(笑)
座敷に座っていた私は、すかさずバタバタと畳を叩いた。

仲さんのギターが最後、半音で終わった。
それがいつになく意外だったのか
仲さんがポロリと笑い、勇造さんもニヤリ。
こういう一瞬の表情を見るのが
ライブの醍醐味。(^-^)


バーン・サバイ
エイズの人たちのシェルターを訪ねたときの歌。
カリンバがひたひたと鳴り
優しい気持ちになる。









 客席におられた苫小牧のギターリストを招いて
 
高野グランドマンションのブルーズ
 その方のお店が20周年を迎えたということで
 お祝いに、 このライブに行こうと決められたそうな。
 この人にとって、勇造さんがどういう存在なのかがわかる。

 
老いてこそロック
 永見さんのパーカッションがはっきりとした音を
 ノブタニさんのサックスが、冴えたリードを響かせる。



ファンから花束が贈られた。

        2部

もしも賀茂川がウィスキーなら
吉井の伸吉つぁん
ゆうじ
無事でいられたら

ブルーズとお前に会った頃
満月
憧れのジャマイカ
海のはじまり
赤いTシャツで始まった2部。
仲さんがマンドリンを抱えて
もしも賀茂川がウィスキーなら…って
そりゃあ、大変って仲さんが笑ってはる。
いや、そうなったら泳ぐ人も出てくるかも。(笑)
 






吉井の伸吉つぁんの歌のモデルになった人が
九州から来ておられて、紹介される。
吉井とは地名。
伸吉さんのことをみんなが「伸吉つぁん」と呼ぶことで
この題名になったという。

私のすぐ後ろの座敷で、おいしそうにお酒を飲み
両切りのピースを吸っておられたのがその方。
15年前、博多でライブをした時からの知り合いで
どうやらかなり豪傑な人らしい。
会った時に70才だったということだから
もしかして今は…えっ?!(@_@)
「文化勲章はもらえんかったけど
CDの曲になって、それのほうが嬉しい」とおっしゃっていた。
ライブの際、いつも後ろを飾る幕の製作者の方も一緒に来られていた。

勇造さんが育んでこられた幸せな出会いのしっぽが
あちこちに見える。








20才の頃、朝まで遊んでいた友達の歌、ゆうじ
この曲は最初のイントロの部分が
何度聴いても勇造さんの曲にないものを感じる。


ゆったりと、
無事でいられたら
夢でしか会えない人もいれば
無事でいられたら、また会える人もいる。
元気でいられたら、ではなく
無事でいられたら、という言葉の選び方が
勇造さんらしい。






ここからは
リクエスト曲を演奏。
休憩時間にみんなが書いたリクエストを集め
その中から、勇造さんがセレクトされた曲が並ぶ。

まず最初は、
ブルーズとお前に会った頃
名前を並べるところで
途中からメンバー紹介をされる、技ものになった。



北海道から駆けつけたファンのリクエストで
満月を。
その方も感無量だった様子。
勇造さんからの
「遠いところから来てくれてお〜きに!」の
気持ちだと思った。
憧れのジャマイカ
静かな曲から
今度は一気にレゲエのリズムが爆発。
暑い季節にはいいセレクト。
これはもしかしたら
九州の人のリクエストだろうか。



ソロを振られて永見さんも熱演。
みんなもワイワイはやしたてる。





敬明さんは相変わらず
踊りながらのハーピング♪


ここで日ごろバックを固めている晴三さんが炸裂。
請われるまま前に歩み出て
とんでもなく楽しいベースを披露された。
ベースって地味な楽器だと思っていたけれど
どうやらそうでもなさそう…(笑)


ずんずんと前に



のけぞる



つっぷす

なんでもできまっせ。(笑)
同時に、表情豊かな音が出る。


海のはじまり
カンチもリクエストしたらしい。
勇造さんの始まり、カンチの始まり。
そして、たくさんの人の始まりの歌。





アンコールの1曲目は
(この国で)列車を走らせる男達の歌
ここではサックスのノブタニさんにヤンヤの喝采。
一番はやし立てていたのは
写真を見る限り、永見さんのよう…(笑)
あやや?仲さんも楽器を放り出して
お囃子してはるやん↓(笑)





        アンコール

(この国で)列車を走らせる男達の歌
Happy Birthday to You
大文字
夢で会いたい




今日で単身赴任が終わるというノブタニさん。
いつもニコニコされている。
だけど、いろいろあったでしょうね。
本当にお疲れさまでした。
そして新しい明日がよき日でありますように。




勇造さんが目線を投げかけると
それが言葉になって伝わり
誰がリードを弾けばいいのか
どういう風に曲を組み立てるのか
そこに迷いがない。
大編成になっても、軸のはっきりしたバンド。
みんなが安心して
存分に楽しんでいる様子が伝わってくる。

ノブタニさんのソロで始まった
Happy Birthday to You
みんなで歌う。






「10年はあっという間や、って
死んだおかあちゃんが言うてたけど
ほんまにそうですね」
35周年を思う勇造さん。

大文字
やはりこの曲をやらんと終わりませんね。(笑)
  さあ もういっぺん♪ さあ もういっぺん♪
みんなが一緒に歌い
ライブは最高潮に盛り上がった。




「1972年から歌い始め、1976年から旅に出始め
だいたい35周年。
あの時、手相見の人に言われて
この道に入ってよかった」と
祇園八坂さんで見てもらった手相の話をしながら
晴れ晴れとした顔でおっしゃっていた。

最後にもう一度、
夢で会いたい




お疲れ様でした。
ほんとに楽しいライブだった!\(^o^)/
バースディライブはやはり特別だ。
日本全国からファンがぞくぞくと拾得に集まる。
北海道から京都に来るなんて、九州から京都に来るなんて
そうたびたびないことだろうに
その目的がライブのためやなんて
とっても贅沢な話だ。
きっと、あれこれ用事を算段して
そして旅費も算段して、この日のカレンダーに丸をしながら
あの場に集まって来られたんだろうと思う。
決して低くないそのハードルを越えさせるもの…

そこに勇造さんがいはるから。
そこに勇造バンドの演奏があるから。
そこに知った顔があるから
だから、みんな集まる。
人が人を呼んでいる。

今年は更に新しいファンも増えた。
そう…このところ新しい顔ぶれが目に見えて増えている。
会場に新しい空気が吹き込まれているのが嬉しい。
勇造さんの歌にどれほど勇気づけられたか、どれほど感動したか、という
その人たちの思いは
時に圧倒されるほど熱く伝わってくる。
それが力となって
バンドが更にお互いを引き出し合い、呼び合っていく。

「バンドがよくなってきている」…そういっている人がいた。

家に帰った頃にはもう日付も替わっていたけれど
早速小さな音で新しいCDをかけた。
それから今日まで、あのCDは何度プレーヤーに乗っただろうか。
何度も何度も聴き返した。

私の場合、時間や気分でCDを選ぶことが多い。
朝聴きたいCDとか、夜聴きたいCDとか…
「今」の気分に合う音を探すことが
何を聴くかの選択の全てといってもいい。
そんな中、この『夢で会いたい』は、例外中の例外と言っていいかもしれない。
どのタイミングで聞いても、不思議に違和感がない。心地よい。
カンチが言っていた。「綺麗な水みたいやな」って。
それは、「澄んだ水」とも言えるのかもしれない。
なるほど、だからどのタイミングに聴いても心地よいのだろう。
押し付けてくるものがない。
アコースティックなサウンドに、サラサラと癒される気がする。

リクエスト曲も入っているから
全体の構成は、決して最初から決めたものではないはずなのに
11曲集まると、バランスのとれた「澄んだ水」になり
更に、ボーナストラックになった「夢で会いたい」がその流れを澄ませる。
この、全体の構成のすばらしさは
勇造さんがだんだんシンプルになっていかれているのと
どこかリンクしているようにも思う。

勇造さんは詩人だ。
それを改めて感じたCDでもある。
時に字余りの歌詞を、早口でメロディーに載せ
その窮屈な感じを
「長崎帰り」「死ね」「ゆうじ」などの明快な言葉で最後に解き放つ。
その一言を聴いて、体がまっすぐ呼吸する。

人はいろんな問題を抱えている。
それを簡潔に、わかり易く解決できたら…
大きく息が吸える一言があったなら…
歌を聴きながら、そんなことに思いが及んだ。

ライブが終わってから、たくさんの人がCDを抱えてサインに並んでいた。
今回は仲さんも勇造さんの後ろに控え
ちいさ〜いサインをしてくれはった。(笑)
勇造さんが書いてくれはった一言。
「これから20年よろしく!」
「えっ?20年でええんですか?」と意地悪く言うと
もう一度CDを私の手から取って
「20」をいびつな「30」に書き換えはった。(笑)
あと30年経ったら勇造さんは88歳。べ〜じゅっ?!(@_@)
その時私は…むむむっ。
その時あなたは…むむっ。
みんな揃って祝えたらいいな。
無事でいられたら、実現できるかもしれない。
そんなことを思いながら、CDをまた聴いている。

ここからまた、澄んだ水が流れるといい…


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