Yuzo Gallery Top ◆2007




Christmas Live

2007/12/22




朝から雨。
ちょっと寄り道してから、拾得に向かう。
途中、あちこちから携帯にメールが入る。
「まだ、○●駅で電車を待っているところ」
「電車、遅れモードです」
「席を取っておいて〜!」
「食べるもの、まだある?」
「1年ぶりにお逢いするのを楽しみにしています」などなど…
バースディ・ライブとクリスマス・ライブは、やはり特別だ。
あちこちからみんながやってくる。
私はまるで拾得の門番になったような気分で
持ち場をかためるために、早めに拾得に走る。(笑)
そうこうしている内、次々に見慣れた顔が到着。
思わぬ人からもご挨拶を頂いたり
思わぬ人を見つけて、こちらから襲ってみたり。(笑)
勇造さんがライブの前日からワクワクされるのと同じように
「22日は拾得だ!」ってワクワクしている。
ファンにとっても
ライブのもう随分前から、ライブが始まっている。


    1部

ゆうじ
キッス・バルセロナ
夢で会いたい
Mr.Bojangles
越えて行け優しさを
長崎帰り
クリスマス・ソング






ギブソンJ160Eを抱えて始まったライブ。
最初の曲は
ゆうじ

 ♪朝が来るまで弾いたよね
 ♪泥水みたいなブルーズ ゆうじ

泥水みたいなブルーズって
マディ・ウォーターズに掛けてはるんかな…
いつか、フーチークーチーマンを
バンドでやってくれはったらいいな。(^-^)
きっと、すごくかっこいいと思う。

それにしても
この曲を一番頭に持ってこられたのはなぜだろうって
歌詞を追いながら考えた。






ギブソンJ160E…一見アコースティックギター風だけれど
エレキギター用に表の板が振動しないように出来ているから
本質的にはエレキギター。
ライブの前日、仲さんがテレキャスターを持って来られると聞いて
重ならないように
勇造さんはテレキャスターを止められたんだそうな。
ギブソン345は…弦がなかったからアカンかったんやって
あとでこっそり聞いた。(笑)
ということで、ギブソンJ160Eの選択となったらしい。






細かいリズムを刻んで
キッス・バルセロナ
J160Eの先の丸い音がエキゾチックな感じ。


ギターをハミングバードに持ち替えて
ささやくように
夢で会いたい
  



  

「今日はプレゼントが3つあって
 まずは
1つ目のプレゼントです。
 あんまり人の歌は唄わへんのやけど…」と言いながら
Jerry Jeff Walkerの
Mr.Bojanglesを。




家にあるNITTY GRITTY DIET BANDの
『UNCLE CHARLIE AND HIS DOG TEDDY』のLPにも入っている。
ギターを抱えたおじいさんの横に犬がいる、ジャケットが気に入っている1枚。

もしかしたら、曲の途中からマイナーになるところを
勇造さんは気に入られたのかなという話が…
それとも、早稲田のジェリージェフのために唄われる伏線か…


ステージにはノブタニさんが加わって
ギターをJ160Eに持ち替えて
越えて行きたい優しさを
ドラムのザワザワとした長いイントロで始まった。



太いサウンドの中、絞るような勇造さんの歌。
髪の乱れようを見ていたら
一瞬ニール・ヤングを思い出した。
仲さんのギターが冴え渡り、長い間奏がうねっている。






細かいリズムを刻む長崎帰り
勇造さんの口元はマイクにぴったりと添いながら
体は縦に刻んでいる。
「死ね」という歌詞の前は、ゆっくりマイクから離れ
そして言葉をマイクにぶつける。
そんなマイクの使い方には、いつも感心する。


 

敬明さんは相変わらず
ラフィング&ダンシングハープ!



年に一度しか唄わない、と言いながらクリスマス・ソング
晴三さんがカリンバを演奏。



 ♪もう少し分かち合えたら
 ♪それは叶わない夢か
 ♪祈ろう 祈ろう 今日はクリスマスの2日前
とアドリブを入れながら…

何日くらい前までクリスマス・ソングとして通用するんかな。
こんな風にアレンジしたら、年中唄えるやん。
なんて考えると、おかしくなった。(笑)

曲の間奏に、カリンバの『聖しこの夜』が優しく入る。




1部の最後に、恒例のプレゼント抽選会。
ここで、この日
2つ目のプレゼントである、お酒「勇造」の出番。
他にもたくさんのプレゼントを用意してくださっていて
手を揚げ歓声を上げて、プレゼントを獲得した人が大勢いた。

この時、拾得のほうでBGMが鳴っていたけれど
抽選に合わせて生演奏でうわ〜ん♪と盛り上げてもらうと
更に演出効果絶大だったかも。(笑)







2部はソロ、
背中で幕開け。
直前に修理を完了して納品されたばかりの
J200を試すかのような軽いタッチ。
勇造さんがギターに耳を傾けておられる。

…ギターと話してはる。
よう帰ってきたなって。
そう感じた。

固い音でよく鳴っていた。



あとで永見さんと話していたとき
勇造さんがJ200を2本持っておられることをご存知なかったようで
びっくりするやらおかしいやら…
案外そんなもんなんです…ね。(笑)


       2部

背中
雨のブルーズ
勇造ないないづくし
唇かみしめて
IN NEWYORK CITY
フリー・アウンサンスーチー
老いてこそロック




「外は雨。晴れてるほうが人は来やすいしね。
 雨の日にライブに来てくれる人が、正直どれだけいるかな〜って、昨日の晩、思ってたんやけど…」
そう勇造さんが話しかける客席には、その心配をよそに、立ち見まで出ていた。
それが嬉しいと、急遽歌い始められた
雨のブルーズ
歩くようなリズムが雨の日の足元を連想させる。











ライブ前、「ギターを何持って行こ?」と考えるところから
ワクワクしている、という勇造さん。
それはファンも同じで
この週末は拾得!とワクワクしている。
そのために1週間がんばって働いたという人もいるだろう。
確かに雨降りより晴れている日のほうが出やすいけど
本当に聴きたいと思っている人は
行くと決めていたら
お天気なんか気にせずに来るはず。(^-^)
ましてや、クリスマス・ライブは特別だから
カレンダーを睨みながらこの日を待っていた人が
きっとたくさんいる。
拾得まで辿りついたら、嵐も雨も関係ないも〜ん。(^O^)
矢でもなんでも降ってこ〜い。(笑)
現に、前売りチケットもないライブなのに
「この日は行かねばならぬ」と心に決めて
ファンは遠いところからでも拾得に向かっている。

雨の日は確かに出にくいこともある。
けど、雨の日でも関係ないこともある。
…行き先が全て…その魅力が全て。

そんな感じかなって思います。勇造さん。(^-^)


今日の3つ目のプレゼントは新曲。
その名も
勇造ないないづくし…!(^O^)
聞いただけで、「よさそ!」って直感。
この歌は「〜ない」という歌詞のオンパレードで
フレーズの最後の歌詞「ない」を、みんなで合唱する。

 ♪家にはテレビもない
 ♪クーラーもない
 ♪扇風機もない
 ♪携帯電話もない
 ♪それでもあんまり困らない
 ♪悪さはしたけど前科はない
♪できればアクセクしたくない

こんな歌詞が延々と続く。
それがどれも一捻りあって
感心しながら「ない♪ない♪」と合唱している内に、メモを取り忘れた。(笑)
次に何が出てくるか、楽しみな歌。
こういうシンプルな歌詞で人を楽しませる、勇造さんのセンスに舌を巻いた。
みんな、とても楽しそうだったな…(^-^)

 

勇造さんはギターを置いて…
でも手元を見ると、おや?ギターを弾いてはるやん。
さながら、エアーギター♪みたいに指がピクピク動いていた。(笑)




ここからJ160Eに持ち替えてバンドで。
2年前に知り合ったというギターリスト羽栗さんも加わった。
舞台の袖に待機してはる不審者の正体が、ここで判明した。(笑)

曲は「どういうわけか唄いたくなった」と
唇かみしめて
久しぶりに聴くような気がする。
J160Eを抱えた勇造さんは、ねじ込むように唄い
永見さんのドラムが、バックで痛いような音をたてている。
バンドがパーンと割れているような感じ。
床から振動が伝わってきた。













IN NEWYORK CITY
の展開は、この日のハイライトだったかもしれない。
永見さんのドラムソロに始まって
晴三さんのベース、羽栗さんのエレキギター
そして仲さんのエレキギター、それから敬明さんのハープが
それぞれソロを弾きながら重なっていき
バンドが分厚くなったところで、勇造さんのJ160Eが登場する。
まさにライブならではの醍醐味を味わった思い。


2つのギターも見どころ、聴きどころ。

 
羽栗さんは若さに溢れたセクシーなギターを。


一方、仲さんは落ち着きがあって音に錘のある大人のギター。
2人がその違いを際立たせた。






永見さんのソロはファンキーだった!



晴三さんのベースも、楽器を替えられてから
演奏が少し変ってきているという説がある。
私が劇的にそれを感じたのは
今年初めの集酉楽サカタニでのライブだったような。
控えめにバックを固めておられたのが
主役にもなりそうな、自由自在のベースを聴かせてくれはる。
ノブタニさんが加わってフリー・アウンサンスーチー
ひたひたと言葉が迫ってくる。
もう何度か聴いているので、演奏するほうと聴くほうが
情景を共有できている。



ノブタニさんのサックスがドラマティック。
このところ特に躊躇がなく
のびやかな、気持ちのいい音が響き渡っている。










最後は老いてこそロック
一年の締めくくりとして
そして、来年への新しい希望として
この曲は勇気が湧いて来る。




 アンコール

走れアルマジロ
大文字

アンコールの最初は走れアルマジロ
走っている男たちには走っている歌が似合う。

 ♪だいじょうぶ なんとかなるさ
 ♪だいじょうぶ なんとかなるさ


そして、「最後はやっぱりこの曲で…」と唄われたのが
大文字
やっぱりこの曲やね〜!(^O^)
ずっと一緒に歌っていた。





お疲れさまでした〜!





気がつくと、私はライブに集中するあまり
もしかしたら、ある箇所では息を止めていたかもしれない。
細胞がきゅっと緊張して、体中で音を受け止めて楽しんだ時間を過ごした。
終わってから、ファンの人たちやバンドのみなさんとお話しているとき
緊張していた細胞がぼわ〜っとほぐれていくのを感じた。
それはまるで、ステージに立っておられた勇造さんが
「あ〜終わった〜!」って
ほっこりした表情で、ビール片手に和んではるのと似ているようにさえ思う。

私は何もしてへんのに…ね。(笑)

たくさんの人と心の底から楽しんだせいからだろう。
いろんなことがあった1年やったなあと振り返りながら
翌日、私は昏々と眠った。
たくさんの刺激を受けた体に、心地よい疲労を感じながら。

再度…
私は何もしてへんのに…ね。(笑)

ただ、時間と空間を共有できたという手ごたえ。



2007年が終わろうとしている。
自分の周りでも、そして、自分自身にもいろんなことがあった1年だった。
今からもう一度それを、と言われたら、とてもご免被りたいようなしんどい経験もした。
ダルマ落としのように、そういうしんどいことをスコーン!と抜いてしまえたら
随分楽だろうと思うけれど
抜いた時、私のいる位置は変ってしまう。目線が変わってしまう。私が私でなくなる。
しんどいこと、それもが「有った」からこそ今ここにいるんだと、今更ながら思うし
有ったことを「有った」と認めることからしか
物事はスタートしないと感じている。

アンコールの最後に唄われた大文字は
まさに勇造さんにとってそういう歌ではないだろうか。
その時々の自分を認めるところから
勇造さんの本当の強さが生まれているんだろうと想像する。
起こったこと全てが無駄ではない、勇造さんの姿がそう私を勇気づける。

同じように、勇造さんの歌に救われた人も多いだろう。
「その曲」が流れてくるだけで、いろんなことがオーバーラップするのか
思わず涙している人を見かけたこともある。
もしかしたら、その人にとって勇造さんは「神」に近い存在なのかもしれない。

私にとっての勇造さんは、生身の存在だけれど
暗い海に浮かぶ灯台のようなものかもしれないなあと、この頃思う。
その思いはこの日、「フリー・アウンサンスーチー」を唄う勇造さんの姿を見て、更に強くなった。
世の中で起こっていることや、そこにある自分の思いを
こういう語りで、こういうメロディーに乗せて伝えられるミュージシャン。
ぶれない軸があればこその有り様だ。
その姿、歌を聴いていると、つくづく勇造さんのファンでよかったと思う。

暗いライブハウスの中で、月のように光る勇造さんを見たように
迷った時に見つける灯台の光は
360度、暗い海をチラチラと照らしてくれる。
迷いかけたら光を探す。
そうやって、この1年、私の周りに勇造さんと勇造バンドの歌があったように思う。
たくさんを語らなくても、光が「わかった」と暖かく照らしてくれた。
私には照らす力はないけれど
せめて照らされた時には、屈託なく笑っていたいと思う。

来年、またいろんなことがあっても、大きく迷わなければいいとしよう。
ひとりひとりは自由で大らかに
できれば自立して、あるいは自立を目指して(笑)
そして、時々灯台の光を見ながら過ごせたら
それだけで十分幸せじゃないかなと思う。

来年が勇造さんと勇造バンドのみなさんにとって
よい年でありますように。
益々進化していくバンドでありますように。
その光を見失わないように、周りにいられたら幸せです。

ありがとうございました。


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