Yuzo Gallery Top  ◆2007

    

                             

                                2007/10/28

                           


主役を待つ楽器たち

 





始まる前においしいご飯を…
その名もライブプレート。


        1部

海の始まり
大文字
バルセロナの空の下
瓦屋根続く細い道
スイートホームKYOTO
もしも賀茂川がウィスキーなら
背中


下から湧きあがるような長いイントロの
海の始まりからライブはスタートした。
海はうねって、どんどんテンポが上っていく。




2曲目からこの曲?とびっくりした大文字
この時点で
今日の勇造さんは、いつもと違う気分なんだなあと感じる。
この土地がそうさせているのかもしれない。







 

ドンドン♪とダイナミックにリズムを刻む勇造さんのギター。
それとは対照的に、仲さんのギターは軽い。
お互いが際立っている
バルセロナの空の下




ハーモニカを首にして
長いイントロが、しっとりと京都の路地を描き出す
瓦屋根続く細い道
仲さんが足元にある秘密兵器を踏まれる。
ギターの音がまろやかになっていく。







↑仲さんの秘密兵器。
揃った足が前に出たとき
コレが仲さんの足の下敷きになっているはず。(笑)











音やに並んだテーブル毎に、「お〜きに!」と挨拶をしながら
スイートホームKYOTO
「お父さん、お〜きに」と言われたカンチの父は
びっくりして居ずまいを正していた。(笑)



何の曲を予定されていたんだろうか。
ビールが振舞われて、曲が変ったみたい。
当然あの曲でしょう…(笑)



ほんまにおいしそうにゴクゴクと。
あ〜プリンプリン♪(私の独り言)




もしも賀茂川がウィスキーなら
やっぱりこの曲になった。(笑)

「ライブの先々で、その土地の川の名前を歌い込んでいるので
日本の川に詳しくなりました!」と笑う勇造さん。
かなりマニアックな名前も登場した。









♪生まれは京都のど真ん中…

5人兄弟の末っ子で
「3人目辺りまでは名前をつけるのにも力が入っていたようやけど
4人目、5人目(勇造さん)になった頃には
父親と母親の名前を使って、かなりエエ加減に名前が付けられた」
という話。(笑)

でもきっと、一番可愛がられて育ってはるんやと思う。(^-^)
ご両親のことが好きやって、ずっと前に聞いたことがあるから。
そんなことをすんなり言える人って、なかなかいない。



音やの場所で歌うと
「川向こうの母親の里から遺伝子が飛んでくるような気がする」(笑)
そんな不思議なことを言いながら
いつもこの場所で歌われる
背中が始まった。
潜水艦…私もしてもらった経験があることを思い出しながら
横のカンチの父の顔を覗く。
       2部

時代が変わっても(ソロ)
ワルツを踊ろう
雲遊天下
キッス・バルセロナ
長崎帰り
夢で会いたい
フリー・アウン・サン・スー・チー


時代が変わっても
ツイストを踊ろうよ♪のところで
ほんとにお尻フリフリ踊る勇造さん。
これは受けた!(笑)







22才のときに作ったという
ワルツを踊ろう
古い曲も、歌えばいつも、その時の気分になるという。
ハーモニカで始まり
あとから仲さんのギターがそっと寄り添う。
勇造さんの左手が指板をなめるように動く。
指までワルツしている。(^-^)






ここでちょっと音やのイベントの紹介を。

11月3日、5周年を記念して音やさんが
「地球・メガネ・愛の歌・素直・缶コーヒー」という
5つの言葉を入れた自作の曲を競い合うというイベントをされる。
エントリー料が1,000円で
優勝したら音やさんのチケットが1,000円もらえるという
少々理不尽な内容。(笑)

それを聞いた勇造さんが
「さっき、ほんの数十秒で作った」という歌を披露。
それがね…たまらんのですよ。(笑)

   ♪
地球が山からやってくる 地球が山からやってくる…
   ♪
メガネが山からやってくる メガネが山からやってくる…
   ♪
愛の歌が…(以下同文)
   ♪
素直が…(以下同文)
   ♪
缶コーヒーが…(以下同文)

怖いものなし!なんでも来い!の歌。(笑)
爆笑だった。
確かにこれなら、ちゃんと5つの言葉も入っているし
数十秒でできたというのも、納得できる。
私など、まともにストーリーを作ろうとして
頭がねじれたもん。(笑)
こういう遊びが出来るセンスはすばらしい!(笑)
けど、音やさんも無茶言わはるね。(>_<)

そういえば、「素直」とメモした文字を、目を細めて読みながら
「煮物」に見えるって、これまた無茶なことを言うてはったのは
勇造さんだった。(>_<)(>_<)

いやはや…どちらを向いても敵わへん。
あっけにとられてしまって、写真を撮り忘れてしまった。(笑)






仲さんに出会って、もう30年以上になるという。
その仲さんと演るようになった曲と紹介して
雲遊天下











ギターを抱えた勇造さんは、動の人。
対する仲さんは、静の人。
勇造さんはおもむろに仲さんの方を向かれ
時に激しく動かれるけれど
仲さんは顔を下向けたままで
目の端に勇造さんの動きを捉えておられることが多い。
立ち位置も変らない。

そんな対照的な2人…
新しいCDを作る際に
一緒にj話し過ごされた、有意義な時間があったんだろうと思う。
その成果がありあり…
音の出入りのコンビネーションが格段に素敵になったと思う。
本当にぐ〜んと良くなった。(^-^)

相手の呼吸がわかっていて
どこで出るか、どこで入るかに躊躇がない。
まさに、音作りは息を合わせることなんやね。
それはつまり、相手を信頼し理解することと同じなんやというのが
2人の演奏を見ているとよくわかる。






その勇造さんから「も、いっちょ!」「も、いっちょ!」と
声のかかった
キッス・バルセロナ
端正な仲さんが前のめりになって
顔が少し紅潮していく。

2人、見詰め合って曲が終わった。










ギターのネックを体から離して
腕を伸ばしてガンガンと
長崎帰り
最後に荒々しく2台のギターが揃うところが
かっこいい!







まるで揺れるように、
夢で会いたい
この地でなら、夢でなくても会えるかも…(^-^)










今のビルマの情勢を憂いで
「どうしても聴いてもらいたい歌」という紹介で
フリー・アウン・サン・スー・チー
この曲を聴くのは2度目。
この前は歌詞をメモすることに追われたので
今回はじっくりと聴くことにした。

 ♪もう長い間捕らわれの人

このフレーズのあとに
アウン・サン・スー・チーさんとビルマを思う気持ちを何度も重ねながら
最後にそれを開放する。

 ♪フリー・アウン・サン・スー・チー
 ♪デモクラシー ビルマ

いい歌だ。
そして本当は、この歌を歌わずに済む日が来るように、と願いながら
ライブは終わった。
アンコール

桜吹雪
満月
ゆうじ





「ここでライブをすると、何か不思議なモノをもらいます」
という勇造さん。
何しろ、客席は勇造さんの親戚度が高いから(笑)
京都の歌が歌いたくなるんだそうな。

季節はずれだけど、と断りながら
アンコールの1曲目に始まったのが
桜吹雪だった。
これにはびっくりした!(@_@)

この歌は、銀閣寺脇にある疎水の桜が題材になっている。
桜の季節にしか歌われないものだと思っていたし
桜の頃にうまくライブに出くわさない年は聴けないと思っていたんだけど…
まさか、この季節、ここで聴けるとは。
勇造さんの中で何かが弾けたのかな。
「桜吹雪 in 秋の音や〜!」やって。(笑)
でも、どの季節に聴いても色っぽい歌です。


続いて、「ある人に捧げます」と
満月
なんとなく察しがついたような…




予定ではきっと、これでライブが終わるはずやったんかな。(笑)
『夢で会いたい』のCDの宣伝をしつつ
「中を開けてCDを取ると…」と言いながら
勇造さんがCDを開けておられる最中に
仲さんがストラップを外してギターを抱えながら
勇造さんにねじねじと寄っていかれた。(笑)

仲さんから勇造さんに寄って行かれることは
通常考えられない。
なに?どうしはったん?なんか変。(+_+)
その気配に警戒していたら
「その下にこんな写真があります〜!」と言いながら
CDの写真と同じように2人並ばれた。

やられた。。。。((((((o_ _)oばたっ

私は慌ててしまって、上手く撮れなかったけど
しばし、撮影大会。
ポーズが決まって気を良くしたのは
勇造さんと仲さんだけではなかった。
お客さんも終わらなくなってしまった。(笑)
再度、アンコールの手拍子が鳴り止まない。
急遽、「もう1曲やります!」ってことで
曲は
ゆうじに決まった。

でも、予定外だったから
仲さんの譜面が揃わない。どこ?どこ?
1枚、1枚がバラバラになった譜面が
崩れた原稿のように、仲さんを襲う。
その山から「ゆうじを探せ」状態。(笑)



片手にギターを抱えて焦る仲さんに
「お手伝いしましょか?」って声をかけたら
あっさりと譜面全部を「はい!」って渡されてしまい
カンチと2人で半ぶっこして「ゆうじ探し」(笑)
勇造さんは曲を始めてしまわれるし
焦る私たち。
どうにか間に合って、何もなかったように曲は続き
ライブは終わった。























このところ、ライブで新しいCDの曲をよく聴いていたけれど
音やで「遺伝子が飛んできて」
ちょっとかき回してみられたライブになった気がする。
勇造さんの中で、新しい曲が古い曲に混じり始めているようだ。

仲さんが持っておられた譜面の束。
100曲以上はあるだろう。
これだけの曲が一緒に演れるなんて、すごいことだと思う。
そんな勇造さんと仲さんの歴史の山の中に
「ゆうじ」は隠れていた。(笑)

毎回アレンジが違うから
CDにおさめられた曲が成長していくのが見える。
古い曲も同じ。
アレンジが変ると、曲が新たに生き始め
どれもが「今」の曲になる。
新しい曲と古い曲の垣根が段々なくなっていく。
徐々に時間が縮まっていく。
曲が自然に混ざっていく。

そんな緩やかな交わりを見たライブのような気がする。
それをさせたのは、やっぱり「遺伝子」やったん…かな。(^-^)
今回、地理的に近いこともあって
初めてカンチの父を誘った。
普段、クラシックやタンゴを好んで聴く父が、どうするかと思ったら
即座に「行く」という返事。
こうして、カンチの隣にはカンチの父が並ぶことになった。
父に言わせると、「結構照れくさいもんだ」そうな。(笑)
現役で働いている頃は
子どものことを構う暇もないほど忙しい日々を送られていた。
その2人が、勇造さんのライブで椅子を並べてほっこりと寛いでいる。
もちろん、私が声をかけたからだけど
でも、この絵柄はどうなんだろうって、不思議に眺めた。

お互いの川が近くなっているのかもしれない。
遺伝子が飛んで(!)新しいものと古いものがここでも交わりかけている。



以前から不思議だった。
中国残留孤児の人たちが、日本に居るほんの数日間という短い時間に
どこに行きたいか?と問われて
「お母さん、お父さんのお墓」と答えることが…
他に一杯楽しいところがあるのに、何故お墓?
そこに目に見えて存在するのは、石だけなのに。

でも、何かがあるんやね、きっと。
溢れる思いが人を突き動かす。
そして、刻まれた文字をさすりながら、墓石にすがりついて泣く。
あたかも、誰かがいるように…
いや、それは、必ずそこに「居る」と確信している姿にも見える。

人の思いは、深くて消えない。
それは海も山も時間も越えてしまう。
ルーツってそういうもんなんかな。

鮭が生まれた川に帰るほど明確でないにしろ
人も自分の生まれ育ったところ、関わった人に特別な思いがあり
そこに吸い寄せられていくようだ。
そこでは、人は平らになれる。
嵐山、松尾は勇造さんのお母さんのお里。
勇造さんにとって音やという場所でのライブは
自分のルーツを見つめる場所なのかもしれない。
お母さんのこと、幼かった頃のこと…全てがオーバーラップして
そこから選曲も始まっていく。
自分の流れを確認し、平らになれる場所。
ちょっと歩みを止めて周りを見る時間が、そこにはありそうな気がする。

続いたらいいなと思う。


 音やの駐車場にいた、いい味出してるワンちゃん


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