Yuzo Gallery Top  ◆2007




2007/1/7

お正月気分というのは、なかなか抜けないものだ。
だから通常、仕事始めはちょいとしんどい。
でも、勇造さんの仕事始めは違う。
年末のクリスマスライブから、2週間余りライブから遠ざかっていると
歌いたい気持ちが満杯になってくるよう。
むずむずしておられる様子で(笑)
「毎年歌い始めはのんさんで。これで丸5年、6回目になります」と挨拶された。
レポを見ると、2003年から書いているから
私は2度目から聴いていることになるのかな。



チケットの番号は2番、今回は1番を逃してしまう。
それがあとでぐりぐり巻きの展開に…(^ ^;


始まる前、のっけからギター談義!






そしてちょっと音合わせ♪


久しぶりに古いJ200を抱えての
GIBSON J200
本当に歌の通り
♪傷つきひび割れてる ふる〜いギブソンJ200

ギターもうれしそうに
ギャキジャキとした音を奏でていた。




「今日が歌い始め。のんさんもライブ始め。
あんまり人前には持って出れへん
ギブソンJ200の古いほうを持ってきました」と
まずはギターの話。(笑)
その様子を見ていた、私の隣の2歳の男の子「宙央(そら)くん」が言った。
「勇造ちゃん、何してんの?」って。(笑)
その一声に、前のめり気味だった勇造さんが
いっぺんに緩んだ。
「今から歌うさかいな」ってね。(^-^)



「去年できた新しいファンです。
彼の好きなマンゴーシャワーラブレターをやるし
それまで起きてられるかな?」

ライブはすでに暖かい。(^-^)

          1部

GIBSON J200
大文字
スィートホームKYOTO
高野グランドマンションのブルーズ
列車を走らせる男達の歌
花の都/ペシャワール
ふとん
マンゴーシャワーラブレター
「京都やさかいに、もう1本ギターを持って来ました」と
J200に勝るとも劣らぬほど年期の入った
ハミングバードに持ち替えて。
となると、やっぱりこの曲、
大文字しかない。



まるでギターの嬉しい気持ちを代弁するかのように
狭いスペースで勇造さんが踊る。
そして…はや弦が切れた。







「今日はぽかぽかライブですから
自分で歌える歌は一緒に歌ってください。
ベリーベリースペシャルライブやさかい!」
J200に持ち替えて
スィートホームKYOTO

♪1月というのに
  ニューヨークではまだ雪が降らへんらしい
きっと地球が壊れたんだ

♪ここは俺の町 俺のふるさと
 アジアの片隅 スイートホームKYOTO

みんなが声を合わせると
「今日はとっても上手な人が一杯来てるな〜!」

♪ここは俺
の町 俺のふるさと
  アジアの片隅 スイートホームKYOTO

秋田のファンの息子さんが
昔、このフレーズを
「アジアの
カラスミ スイートホームKYOTO」と
歌ったそうな…おいしく変身?!(笑)



「今日はいくつもプレゼントがあります。
まず1つ目はブルーズ」
主催者マンマさんのリクエスト1曲目の
高野グランドマンションのブルーズ
場所柄、この歌ははずせないというところ。(笑)

こねるようなギター。
勇造さんが絶好調なのがわかる。
存分にギターを一杯いっぱい弾いて聴かせ
すっかりJ200と遊んでおられるよう…(^O^)




ハーモニカを首に、列車を走らせる男達の歌
手首が軽やかで
更に音がジャキジャキと鳴っている。
足踏みをし
ギターのネックを下から持ち上げるようなアクション。
今日の列車はスピード違反!(笑)
「のんさんでライブをすると
ギターが勝手に飛ぶ」と勇造さん。
何かいますかね?(笑)
「きっとギブソンのギターが好きな奴が
一杯いるんやで…」って
導いているのは勇造さんなんですけど。(笑)



「今年は新しいCDを出すことになっています。
この歌も入ることになっていて
サックスも入ってくれるだろうと思います。
ちょっと期待してください」って。
わ〜〜い!(^O^)






お年玉第2弾は、マンマさんのリクエスト2曲目の
花の都/ペシャワール
傷ついたJ200が振り絞って鳴らすペシャワール。
ギターも人も真剣勝負。
右手第2関節辺りまでを使って
弦の上を軽く叩かれると
なんともいえない和音が響いてくる。
ボディーを叩かれるたびに、緊張が走る。
この日は緩くカーンと響かせたあと
J200をいたわるように、抱きかかえて終わった。
年に一度湯たんぽライブで歌う、ふとん

♪寒い冬の朝は 布団の中が一番
体と体をくっつけて もう少し話をしようよ

「俺独りモン、私独りモンという人には…
 その時の答えは、たったひとつ… 湯たんぽ〜!」

勇造さんが最初に湯たんぽを使い出されたのは
10年以上前の話。
タイに暮らしていて
お母さんが倒れられて、京都に帰ってきてから
天神さんで湯たんぽを見つけられた。
(天神さん…毎月25日にある北野天神のお祭)
その前に東京の友人のところで
ウイスキーのボトルにお湯を入れて
それを靴下に入れて
「寒いやろ」と用意してくれたのがきっかけで
湯たんぽもええなと思っていたという。




天神さんで見つけた、陶器のかまぼこ状の湯たんぽには
「国策湯丹保」と書いてあったそうで
その文字に、これは買えないなあと思いながらも
気になったそうな。(笑)
欲しいなとは思いつつも
ちょっと筋が入ってたので、だいじょうぶかなって。
以前ペシャワールでヤカンを買って
日本で使ったら水が漏った経験があるから(笑)
「ヤカンで漏ったら アカンよね」って
それが言いたかったん?(笑)
話は湯たんぽから離れていく。(>_<)

「ハンダ付けしたらよかったんや!」という声に
その意欲さえもなかったと勇造さん。(>_<)
天神さんで見つけたその湯たんぽも
ひょっとしたらやばいかなと、不安になって
おじさんに「ちょっと貸してね」と断って
トイレに駆け込んで水を入れ
漏らないかどうかを確かめたという勇造さん。
「今から考えたらよう貸してくれたけど・・・」て笑いながら。
無事漏らなかったので
おじさんに「これ欲しい」というと
「あんた、しっかりしてるな〜」って言われたそうな。(笑)
借りるほうも貸すほうも、どっちもどっちの
のどかな話。(^O^)
ヤカンの教訓を活かしたことで
「パキスタンに行ったのも無駄ではなかった」って。(笑)

そう…人生に無駄なものなど、ひとつもないみたいですね。
例えそれがひび割れたヤカンであっても…(^_-)〜☆
さて、いよいよ宙央(そら)くんのお待ちかね
マンゴーシャワーラブレター



しっかりと勇造さんを見て、真剣な表情で聴いていた。
この曲はほんとに心が晴れるから
きっと子供にとっても心地よいんだろうな。(^-^)




おっぱいを飲みながら、半分寝かけていたのに
目を覚まして、時々勇造さんに向かって手を振っている。
少し前にでて、話しかけるように軽いギターを弾きながら歌う勇造さん。
すごく嬉しそう…
去年の秋にマンゴーシャワーラブレターの入ったCDを聴いて
すっかり気に入ったという宙央くん。
それが「ごっつ〜嬉しい!」勇造さん。
90歳の石田さんから、2歳の宙央くんまで
勇造さんのファンは幅広い。




合間にも、やっぱりギターの話。



勇造さんのサイン入り湯たんぽ


お年玉第3弾は…「湯たんぽ」
チケットの隅に書かれた番号のカードを、みんなでシャッフル。
のんママの「上から9番目!」というリクエストに
勇造さんが引かれたら、それは「1番」!
男性が当たりくじを引いた。



うぎょ〜〜!!!私は2番!うぎょ〜〜!!
1番違いではずしたのは残念だったけど
「あったこうしてあげたい人にあたった!」ということだったから
よかった!よかった!(^O^)

「低温ヤケドに気をつけて!」


「お年玉第4弾は生き物です!
ギターとベースの好きな生き物です!」
という勇造さんの紹介で
カンチとキムラさんが登場。



おやじが住んでいた街
青い森(with キムラ)
大好きな歌うたい(with キムラ)

1曲目はカンチがソロで
おやじが住んでいた街
これは主催者マンマさんのリクエスト。

2曲目はキムラさんと、「ドロっとしたレゲエ」の
青い森
これは、春からギター製作・修理を生業にして
新しいスタートをきるキムラさんに。

そして3曲目は勇造さんに
大好きな歌うたい



♪俺の大好きな歌うたいは ギターが大好きで
♪会えばギターの話に花が咲く
♪女房は心配そうに聞き耳たててる

♪俺の大好きな歌うたいが弾く ギターに憧れてる奴がいる
♪俺は少し分別のある年になったさかい 
♪J200は買わへんけれど

♪あ〜憧れのJ200やで
♪ジェフベックが来なかった雨の円山音楽堂
♪あのカッコエエ ギター弾けたらと
♪今日もJ200触る奴がいる



♪俺の大好きな歌うたいは 日本中旅して歌ってる
♪ただの歌うたいとはだいぶ違う
♪生きるための歌 うとてるさかい

♪歌い続けるってすごいよね 生きるための歌




「ごっつうエエ歌やな〜!」と言いながら
勇造さんが前に。




その気分のまま
「ブルーズをやろかな?歌いながら決めよかな」って
2人と一緒に
即興ブルーズが始まった。



♪今 カンチが歌う歌を聴いてたら
 泣きそうになったよ
♪けど 俺は泣かへん J200持ってるさかい

爆笑が起きる。

♪J200持ってるさかい Jの50は買わへん



♪カンチのうとてる中に 生きるための歌ってのがあったけど
昨日作った歌を 俺も歌おうかな
まだ出来立てやし 全然アカンのやけど

♪朝目が覚めたら おっさんになってた〜!
「あっ、違うっ!」
♪朝目が覚めたら おばはんになってた〜!
「いや、違うっ!」
♪朝目が覚めたら 貧乏になってた〜!
♪気がついたら 遅かった〜!
♪稼ぐに追いつく貧乏はないと思え 労働者

♪人ごとだと思ってたら いいさ
♪他人事だと思ってたら いいさ
♪あんたは選ばれた人やから



勇造さん!絶好調!

2人も楽しそうにしているけれど
後で聞いた話では
本当はついていくのに必死だったんだそうな。(笑)



「2007年スペシャルバンドで2階のおばさんをやります」





♪2階のおばさん ギターが嫌い(カンチソロ)



♪2階のおばさん ベースが嫌い(キムラさんソロ)



♪2階のおばさん ハーモニカが嫌い(勇造さんソロ)
♪2階のおばさん 拍手が嫌い(みんなで拍手)
♪2階のおばさん ツイストが好き…

勇造さんがカンチが、3人が
お尻くねくね踊りだした!(^O^)





どんどんどんどんスピードアップしていく。



            2部

即興ブルーズ(with カンチ&キムラ)
2階のおばさん(with カンチ&キムラ)
雲遊天下(with カンチ&キムラ)
老いてこそロック(with カンチ&キムラ)
私の上に降る雪は
田中一村
太陽のあたらない部屋で休んでいきませんか

「旅をしていて、辛いことがいろいろとあったやろ
という話でしたけど、いろいろとあります」

「今日は何曲か練習したんで・・・」と勇造さん。
「え?練習?あ、練習練習!」とカンチ。
不思議な会話のあと、しっとりと
雲遊天下







♪強く思い続けていたら いつかそこに立てるだろう

それを歌う勇造さんはなんだか励ましてくれているよう…
老いてこそロック





ソロで、しっとりと変化をつけて私の上に降る雪は
懐かしい〜!という男性の声。
一緒に歌う女性の声。
♪私の上に降る雪は 真綿のようでありました
♪私の上に降る雪は みぞれのようでありました
♪私の上に降る雪は あられのように散りました
♪私の上に降る雪は ひょうであるかと思われた

「高校生の時にはっきり意味がわからへんかったけど
今、高校生よりは少しわかってきたような気がしている」

「今までライブで一番お客さんの少なかったのは
1976年の青森で、3人。
車で照明、PA、マネージャーと俺との
4人で回っていて、お客さんがたった3人やった。
でも俺は“生きるための歌”を歌ってるさかい
そういう風な時ほど燃えるねん!笑」

「今日もちょうど2時ごろに虹が出て…」って
始まる前にちょっと話題にあがった話もネタに。
そのネタはベタベタやからって言うたのに…(^ ^;






あちこち旅をしたけど
旅の心得というのがあって
いつどこで寝るか
いつ洗濯するか
いつ食べるか

今年の抱負
ポケットからメモを取り出して

1、二日酔いになるまで呑まないこと
2、丁寧に歌うこと
のちほど↓もうひとつ加わる。

去年は国内で101回、タイで1回の合計102回
飛び入りも入れると110回ほどライブをしたと言いながら
田中一村




1974年のファーストアルバムに入っている
今日のような気候のときに旅人を迎えた歌を…
太陽のあたらない部屋で休んでいきませんか

久しぶりに聴く歌。
カンチが歌った曲にオーバーラップする。


         アンコール

大文字(with カンチ&キムラ&スナフ)
ジェフベックが来なかった雨の円山音楽堂
雨のブルーズ








アンコールで、カンチとキムラさんを呼んで。
そして「今日はもう1人ミュージシャンが来てるし」と
客席のスナフさんを呼んで
「J200を持っている人です」と紹介。
「同じ歌を2度やることはめったにないけれど」と言いながら
みんなで再び、
大文字
ハミングバードを抱えたスナフさんは
いきなりトップスピードで弾けた。
最高のお年玉だったかも。



大文字の前に、先ほどの
抱負の続きを…
「最近、京都在住、京都付近在住のミュージシャンと知り合いになってきたさかいに
いっぺんみんなで一杯集まって
1組2,3曲になるかもしれへんけど
そういう風なライブをどこかでやりたいな〜って思て
さっき隣の文房具屋さんで、ノートを1冊買ってきました」
そこに、歌いたい人は名前を書いていってくださいと勇造さん。
そう、1部と2部の合間に
隣の文房具屋さんで買うてはった。
京都の歌うたい…勇造さんのルーツとともに
そんな集まりができたらいいな…(^-^)






ソロで、
ジェフベックが来なかった雨の円山音楽堂
ものすごい迫力!
この日1番、ギターが唸っている。
古いJ200が叫び声をあげる。



こ〜んな格好をすると
端から端まで届いてしまう、のんで跳ねる。(^-^)




朝からの悪天候も、ライブの始まる前には収まった。
最後はゆっくりと、
雨のブルーズ



いつもの深ぶかとしたお辞儀。


「30年ツアーをしていて
その場所があるからできるんやと思てます。
これからもまずまず…いや…ますますよろしくお願いします。
今日から俺のライブが始まります。
明けましておめでと〜!!」




この日の勇造さんは
いつもとは少し…かなり…違ったように思う。
いつもなら、マイペースでリハを始めはるのに
コーヒー片手に、ギターを出してみんなでワイワイと☆
その後、軽く音合わせをして照明を調整していたら
もういい時間になって
早いお客さんは到着し始めた。
オナカがすいていたから、慌ててみんなで
のんのカウンターに座って食事。
そう…いつもならどこかに散歩に出られるのに
この日はずっと、みんなと一緒に行動されていた勇造さん。
ライブの前に外に出られてからも
ビール片手にずっと歌いながら
体がゴムまりみたいに跳ねている。
すごくすごくいい感じ。(^-^)

カンチもキムラさんも
勇造さんがまさか4曲も一緒にやろうと言われるなんて
思ってもみなかったらしい。
その上、更に1曲…終わってみれば5曲も。
「ええんかいな」と思いながらも、楽しかったという2人。
勇造さんの漕ぐ舟に乗せてもらって
存分に遊ばせてもらったライブだったみたい。




『幸せな男達』
当たり前に写真撮影したあと
「ちょっと愛想のあるポーズをとってみて」と注文をつけたら
こんな騒ぎになった。(笑)
勇造さんは1番にキムラさんのべースを持って
スナフさんはやっぱりJ200
カンチはハミングバードを
そしてキムラさんはカンチのJ50を高く掲げて…
みんな楽しそ〜!


豚汁がワンドリンク代わりのライブなんて
他にあらへん…(^-^)
八百屋さんの店頭が空になりそうなくらい
具沢山で、オナカが膨れる一品!
マンマさん、ごちそ〜さんでした!




ここが、あそこが…って
終わってからもギター少年達に囲まれたJ200!
思えばなんて幸せなギターだろう。(^-^)


この日のライブのキーワードは「ギター」…これに尽きたんじゃないだろうか。
だいぶ酷使され、お目見えする回数の減ったギター2本を抱えてこられたとき
「そっかあ…今日はギターの話を一杯しはりたいんやね」
そう感じた。
勇造さんにカンチ、それに春からギター製作・修理の仕事に就くキムラさんの3人が
頭を突き合わせてギターを覗き込み
あ〜でもない、こ〜でもない、こんなこともあった、あんなこともあったと
話は尽きることがない。
私はといえば、まさにカンチの歌う
♪会えばギターの話 女房が心配そうに聞き耳たててる…の図。(笑)

ライブが始まれば、1曲目が
GIBSON J200、2曲目が大文字
まさにギター紹介のような展開。
J200やハミングバードの傷の数々、修理の跡に
勇造さんの歴史が一緒に刻まれていた。
一緒に歩いてきたギターを、いたわるように抱えたライブ。
ギターが好きな気持ちが、一杯詰まったライブ。

ギターを抱えた少年達。
その目が愛情で溢れていた。

♪ギターが友達 ずっと俺の友達

暖かい一夜、勇造さん!マンマさん!ありがとうございました!
みなさん!今年もどうぞよろしく!



(写真は一部、山河さんからご提供いただきました)


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