Yuzo Gallery Top  ◆2005



in 唯徳寺


2005/9/18


両側を家の塀に囲まれた、車も入れない細くて暗い坂を上がったところに
唯徳寺の境内が開けた。
ここが今晩のライブ会場。

本堂に靴を脱いで上がる階段のところで、勇造さんにお会いする。
いきなりギターの話。
「え?B25を買うたん?実は俺も持ってるねん…」
ぶ〜っ、ギター・ブラザーには敵わない。("э")



本堂に入ると、畳の上に小さな椅子が並んでいて
そこにお馴染みの垂れ幕と、新しいJ200が鎮座していた。
主催者は「美しい摂津峡の緑を守る会」…なんと無料だ。




最初はこの地で頑張っている中村君が2曲。
高校生なのに、自分の世界を持っている。
あれは誰の訳なのか…「I shall be released」の日本語バージョンがなかなか良かった。

 ♪頭のいかれた奴らが 世の中を動かして
   この俺のみる夢を  力で押さえつける♪

「今は僕のOAをやってくれてるけど、もう30年もしたら僕が彼のOAをしてるかもしれへん」と勇造さん。
お気に入りのよう…けど、勇造さん、その時おいくつ?(笑)
私は彼のチューニングの早さに目を見張った。
かなり音感が良さそうだ。





歌いながら夜を往け
チェンマイの月
チャオプラヤ河に抱かれて
花の都/ペシャワール
そんなんやない
ホセが植えた木に雨が降ってる
オールドマン・ブルーズ
海の人
この国で列車を走らせる男たちの歌
雲遊天下


歌いながら夜を往け
「まずは月にちなんだ歌を2曲うたいます」

タイから帰っての第一声はどこか暖かい。
最後はハープの和音を止めるように
ギターの音がピンと弾けた。


チェンマイの月
早くも弦が切れはしないかというような
激しいギター。
残念なことに、ここで誰かの携帯が鳴った。
ドキッ☆
だけど勇造さんは動じない。
更にギターの音がたくさんたくさん鳴り響き
その音が不思議に1つに聞こえ始めた時
いつのまにか先ほどの携帯のことなんか忘れて
再び勇造さんの世界に浸っていた。
こんなこと、なんてことないさ…そんな演奏だった。




      

 「一昨日タイから帰って来たばかりで
  タイには、 hot hotter hottest と
  この3つの季節があります」

 主催者の心遣いで
 音がうるさいだろうと
 本堂内の大型クーラーが切られていた。
 当然、蒸し風呂状態。
 最初は、「暑い時には暑いように」と
 余裕だった勇造さんも
 激しいギターワークと照明に汗だく。
 ついに、靴下を脱いで
 「クーラーをかけてもらっても
 かまへんかなって思うんやけど…」って。(笑)
 私達も暑かったら助かりました…(^_-)〜☆




チャオプラヤ河に抱かれて

勇造さん初体験の人達に
「普段テレビから流れる音楽とは違うと思うけど
こんな風になったらええな
こんな風になったらイヤやなということを
うとてます。
カラオケにも入ってるんやけど…
カラオケ、唄わんでもかけてくれたらそれでええし…」

 ♪その執着を 捨てなさい〜♪(笑)







花の都/ペシャワール
きっとこの曲を演奏されるだろうと思った。
というのも、清水寺でのライブで
この曲がお寺の建物に合うというのを体験したから。
音が天井を舞う、昇る…と表現すればいいのか。
なぜか天井を見上げてしまう曲。


そんなんやない
PAなしの時の「エコー自家発電(!)」をみんなでやる。
どうもいつもよりかなりテンポが速い。
♪そんなんや ない ない ない♪







ホセが植えた木に雨が降ってる
「植樹祭をするために木を切る、必ず道が綺麗になる。
一体誰が来はるんかしらんけど…不思議な現象ですね」
チクリと言いながら
主催者の名前「美しい摂津峡の緑を守る会」を
紹介しはったら
「美しい摂津峡の緑を守る会、かい、かい、かい♪」と
先ほどのエコーの続きが客席から届いて
笑いが起こる。

勇造さんの顔に汗がしたたりおちて
目に染みている様子。



オールドマン・ブルーズ
勢いテンポが速くなってしまったようで
すぐに「もういっぺんゆっくりやります」と
やり直し。
何しろ「オールドマン・ブルーズ」やから…ね。(笑)


ここで本の紹介。
「24、5年ぶりに新しい本が出来たとこで
昨日の朝、ドカッと届いたとこやねんけど…
今日一杯持ってきてしもたし…(笑)
本に名前の出てる人は
10冊くらい買うことになってます」
海の人
海で生活する人の想いが込められた唄。
最後に小さくて鮮明なギターが、柔らかに響いた。





この国で列車を走らせる男たちの歌
ドンドンという足踏み。
それに一緒に震える足元の照明。
あかりに照らされた影も一緒に震えていた。


雲遊天下
時にギターを揺すりながら
最後に向かうほど激しく、足踏みも加わる。





一旦脇に引いて、改めてチューニング。



それで十分
やっぱり、弦を切ってしまわはった。




アンコール

それで十分
満月



ギターをどうしはるんかな?と思ったら
中村君に「ギターを貸してくれる?」



一緒に最後の
満月を。
中村君の手にはタイのリンが。
お寺の雰囲気を察してか
ゆったりとした日本語バージョンだけを唄い
日本のお月見の最後が閉じられた。
ほんのちょっとしたところに
勇造さんの心遣いを感じる。






これ、何?
どうやら「満月」らしい。(笑)
ライブの始まりの頃
少し御機嫌斜めだったお月さんの代わりに、と
誰かが黒板に描いて、本堂の隅に置かれていた。
丸でもなく、楕円でもなく…傑作!!
誰が描いたかって?
そんなん、勇造さんに聞いてください!(笑)


終わってから、本堂の外に用意された
小さな文机に座って本にサインを。
お月さんの薄明かりに照らされた心静まる光景。
こうやって自然の中で、自然に1日が終わるのは
幸せなことだと感じた。



勇造さんも満月を胸に…



お寺でのライブに行くのは、清水寺に続いてこれで二度目。
お寺…ライブに向かう場所としては
それだけで何か違う感じがするし
本堂の厳粛さが人を緊張させ、また
大らかさが人を解放もするような気がする。
まさに、心を触られる場所なんだと思う。
そこで魂に響く音楽を聴くと、それは
ある種、祈りにも聴こえる瞬間がある。
おかしな世の中にあっても
後半に向けて始動した勇造さんは
柔らかく元気だった。

さあ、後半がスタートしたよ!(^-^)




マニアック情報
新しい方のJ200は
アジャスタブル・ロッドのカバーが外れて
ぽっかり穴が空いていた。


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