Yuzo Gallery Top  ◆2005


2005/4/28



出番を待つ、枯れたハミングバードと赤い345。

          1部

もう春かな
スイートホームKYOTO
クイーンエリザベス
コーヒーブルーズ
(ブルーズよ 連れていっておくれ)
無事でいられたら
GIBSON J200

もう春かな

「今日は新婚さんがいはるから
一番春らしい服を着てきました」



グリーンの模様がネジネジと(!)鮮やかなシャツ姿で
ギブソン345を抱えた勇造さん。
春よりも更に暖かい音でライブの幕開け。







スイートホームKYOTO
この時点ではや1弦目が切れた。




クイーンエリザベス
弦は切れたままにして
ゆっくりと右手で弦をなでるように弾いておられる。
声がグンと伸びていて、空に向かって届くよう。

勇造さんと仲さんが一緒に足踏みしながらリズムをとり
最後は底から湧きあがるような音で終わった。


いつもより格段に声の伸びがいい。
PAのせいではない。
ほんとに地声が澄んでいて伸びがよかった。





 コーヒーブルーズ
 ハミングバードに持ち替えて。
 「バンドのメンバーに
 できるだけ楽器を弾いてもらって
 できるだけ気楽にやろうと思います」と
 笑わせながら
 直前に亡くなった高田渡さんのことを
 軽いリズムで唄われた。
 「あんまりしんみりしたくないので…
 バンドで今までにやったことのないことを
 やってみようかなって思て…」
 それはなんと、全員で“はもること”だった。(^-^)
 その提案に、会場がドッと湧く。
 「リハでやったら難しいて、あんまり揃わへんねん。(笑)」
 ということで、観客も一緒にはもって
 お手伝いをすることに。(笑)
  ♪頑張らなくていい 頑張らなくていい
 渡さんを想う気持ちに心地よく包まれる。
 こういう「想い方」もあるんだなと
 嬉しくなった。


(ブルーズよ 連れていっておくれ)

まだ名前も決まっていない新曲。
一転してブルージーでディープなリズム。
こういうホヤホヤの曲が聴けるのが、ライブの醍醐味だ。
 ♪ブルーズよ 連れてっておくれ
  人を幸せにするってところへ
敬明さんの激しいハープの音に、勇造さんがニヤリ。
ギターを引掻くと同時に、こねるように体が沈む。





 無事でいられたら
 345に持ち替えて。
  ♪歩き続けよう 唄い続けよう
    いつか 無事でいられたら
 なんだか自分に言い聞かせておられるよう。
GIBSON J200   
「違うギターのことやねんけど…」   
ハミングバードでのこの曲は   
もしかして初めてかな?   
どちらのギターも勇造さんに馴染んでいる。   
改めて思った。   
勇造さんはほんとにギターが好き。(笑)   




        2部

憧れのジャマイカ
時代が変わっても
チャオプラヤ河に抱かれて
田中一村
それで十分
海の人
マンゴーシャワーラブレター

憧れのジャマイカ

ハミングバードのソロで2部が始まる。
ひとりレゲエ。
いよいよこのシーズンですね。(笑)
だけど、アップテンポのリズムに
観客の手拍子がなかなか揃わない。
「バラバラに手拍子くれたらええし…(笑)」
その言葉にのけぞりながらも、小さく刻んで
なんとか勇造さんのギターを追いかける。
勇造さんの右手首が軽ろやか。



時代が変わっても
同じくソロで。
♪年寄りではない でも決して若くはない





チャオプラヤ河に抱かれて
バンドが再登場して
 ♪今日一日無事だった 生命たちよ
今日は「無事」ということばが
あちこちで浮き上がって来る。
敬明さんのハープが煙っている。

田中一村
やさしいメロディの更に上を被さるように
バンドの音がぼわ〜っと包み込んでいく。
晴三さんのカリンバが波のよう。

  



それで十分
永見さんのとても長いソロで
いきなりトップスピード。
ほんとに堪能するほどのバチさばき!
リズムがどうにかなりそうな乱打の激しさから
正確なリズムへと、寄せては戻っていく。
脈打つ割れるような響きで、永見さんの体が踊っている。
今まで聴いた事のないアレンジ。
ここにドラムあり!圧巻だった!









海の人
345に持ち替えて。
弾こうと息を整えてギターを…でも音がでない。ん?(@_@)
アンプを調整して再度息をこらして…またでない。ん、ん?(@_@)
それもそのはず、ギターをコードに繋いではらへんかった!
これにはみんな大笑い。(^Q^)/^
「今日家を出る時に
俺もエレキギターに慣れたかなっておもたんやけど…」って…
再度大笑い…(^Q^)/

^



勇造さんのギターは切れるような
シャカシャカというカッティング。
仲さんのギターはすくうようなタッチで流れていく。
2つのギターが折り重なって
哀愁たっぷり。







シンバルが曲のイメージ、視界を広げていく。
 ♪多くは望まない 無事で生きられたら
   今の暮らしが つづけられたら







 
マンゴーシャワーラブレター
 「あんまり長い事振るのしんどい…(笑)」
 そう言いながら
 敬明さんが雨の音を出すために
 マラカスをシャカシャカ♪
 それに応えて
 「ええメンバーとバンドやってると思うわ」と勇造さん。(笑)
 最後は大好きな曲で心晴々と…


   アンコール

花の都ペシャワール
ブルーズをやろうぜ

花の都ペシャワール

ギターを345に持ち替えて
「この唄をエレキでやってみたかったので…」
何が始まるのかなと思ったら、なんとペシャワール!
いつもはJ200を叩いているところを
音の強弱でその雰囲気を出すのに挑戦。
いろいろチャレンジされている。


晴三さんのベースは
ほんとに「ここに欲しい」というところで鳴っている。
ベースって渋い楽器だなあとつくづく思わせる演奏。





 ブルーズをやろうぜ
 そして最後はやっぱりブルーズ。
 ブルーズのリズムと一緒に、バンドが踊りだす。
 勇造バンドはブルーズがお似合い。(^-^)


「無事」
この日のライブのキーワードだったような気がする。
今までそれほど気にとめていなかったけれど
歌詞のあちこちにこの言葉がでてきていた。
「無事」…聴き慣れた曲の中のこの言葉が、これほど心に留まるのは
それは渡さんの死があったから…

ライブの始まる前、きっと今日は渡さんのことに触れられるだろうと思っていた。
でも勇造さんはとりたてて悲しいとは言われない。
大事な人を失った事実と、淡々と向き合っておられるような印象。
それはもしかしたら、早いとは言え十分幸せだったろう渡さんを
幸せに送りたかったからなのかもしれないと思ったりしている。
バンドでやったことのない演奏をすることで
追悼の気持ちを表しておられたのが、とてもすがすがしかった。
「人はいずれ死ぬんだ」という当たり前のことを
当たり前にゆっくり掴もうとされているよう。
生きている自分にできること。それは耳を澄ませて唄うこと。
渡さんも楽しげにライブをされた拾得の、同じ場所で同じ空気を吸いながら
今生きている自分を確認されているかのように見えた。

♪今、生命がある それで十分

この日、本当に勇造さんの声がよく通っていた。
それを感じたのは私だけではなかった。
最初はPAのせいかなと思って、終わってから確認したら、PAはいつものもの。
ということは…勇造さんの声が伸びていたのだ。
「まだ成長してるねん」…終わってから勇造さんはビール片手に
いたずらっぽく笑ってはった。
遠くに行った人に語りかけたい想いが、声をも伸びやかにしたのかもしれない。
そう…どこに向かって、何をイメージして唄っているか、それが声にまで現れるということを知った。

この声、天まで届け!


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