Yuzo Gallery Top  ◆2003

2003/3/30

今この時勢に、勇造さんが何を言われて
何を唄われるのか
それを見届けねば、という思いで
アザーサイドに駈けつけた。


今日は続木徹さんをゲストに
そして敬明さんも参加して…




「こんな時こそ賑やかに、みんな一緒に騒いでくれたら嬉しい。
 こんな時やからこそラブソングを唄いたいな〜とおもてるねん。 
 今日はたっぷりやってええかな?」
『もう春かな』で幕開け。

「ラブソングを続けて唄います」
『ワルツを踊ろう』
泣くより一緒に踊ろうよという、今の勇造さんのスタンスが見えるよう。
細かくたくさんのピアノの音が刻まれる。

『マンゴーシャワーラブレター』
目の前がさ〜っと開けて、風が吹き抜けるよう…
1部

もう春かな 
ワルツを踊ろう 
マンゴーシャワーラブレター 
センシミーナ 
夢で逢いたい 
IN NEWYORK CITY 
花の都/ペシャワール

  



「今日は大先輩が来てくれてはるので、
 100まで生きようという思いを込めて唄います。」
会場の隅におられた石田さんを見ながらそう言って
『センシミーナ」が始まった。
最後の高音をピンとはねて曲が終わる。


ここからは続木さんと二人で。
「今朝はジャマイカの夢を見ました」と
『夢で会いたい』
♪夢で会いたい もう会えないとわかっているから
夢で会いたい♪

ゆらゆらと揺れるような心地よさが漂う。
足にギターを乗せて弾きながら
最後はJ200をゆさゆさゆすって余韻を楽しんで終わった。


「時代が唄についてくる時があります」と
『IN NEWYORK CITY』
いきなりトップスピード!
勇造さんのギターをピアノが激しく追いかける。
ちょっとJAZZっぽい和音が響いて
曲に奥行きが出ている。
♪イラクにいったら 囲まれるで♪


勇造さんがゆっくり足踏みをはじめ
ピアノと息を合わせて頭から一緒に。
ギター1本とはまた違った味の
『花の都/ペシャワール』


みんなも一緒に唄い出す。
目を瞑るとそこにイラクの砂漠が見えるよう。
ギターが段々テンポを緩めてカーンと共鳴しだすと
それをじっと続木さんがみていて
弦を叩くところだけに和音をのせる。
勇造さんの呼吸に合わせる、そのタイミングが絶妙


2部

そんなんやない!
二人の絵描きさん 
NO WAR(非戦)
高野グランドマンションのブルーズ 
唇かみしめて 
背中 
海の始まり 


「今日御池通りを通ってきたけど
綺麗になったね」とチクリと言いながら
『そんなんやない!』
♪ない〜ない〜ない〜♪の大合唱。




「新世紀を迎える大晦日の夜、京都市長は“世界の平和を祈って”と
(お盆の送り火のはずの)大文字に火をつけたけど
それやったら、今こそ大文字に火をつけたらええのに…ね?!
東山にも“NO WAR”って、ぐるっと火をつけたらかっこええのにねぇ…」
そう言いつつ、こんな時こそ唄いたいと 『二人の絵描きさん』
♪愚かなことを 人は何故繰り返す♪ 
「ライブに出かけていてデモには参加できひんのやけど
 気持ちは一緒やから
 今日はデモに行く代わりに手拍子をください」




デモの帰りにライヴに来られた一団が
幕を大きくかざされた。

「9.11以来、またこの唄をうたわないといけなくなりました」と
『NO WAR(非戦)』がゆっくり始まる。



「トールの渋いブルーズを聴いて下さい」と始まったのが
『高野グランドマンションのブルーズ』




どんなに激しいフレーズを弾いても
髪を乱すわけでもなく、さほど揺れ動くわけでもなく
それでいてあのリズム感の良さ!

ポロンと弾かれただけで、ブルーズの味が出る。
この日一番のバリバリのブルーズ!
どう言ったらいいのか…そう、言うことなし!やね。
なんであんなフレーズが出てくるんやろ…
まさに「マジックハンド」

  
 




勇造さんがタンバリンの敬明さんにソロをとれと無理難題。
え?と言いつつも途端に踊り出す敬明さん。
ミスター・タンバリンマンの誕生!最高でした!
終わってから「あ〜はずかしっ」と一言。(笑)

敬明さんってえらい!!




 『唇かみしめて』
勇造さんの右手のシャキシャキした刻みに合わせるかのように
続木さんのピアノのタッチも軽い。


「二週間前にビルマにいたんやけど…」
どうやら勇造さんの英語は京都なまりがあるらしい。(笑)
英語で唄う京都弁、タイ語で唄う京都弁を披露。
そして、あげくはギターをつまびいただけで
「はい!今何言うたでしょう?」って。
そんなもん、わかるわけないや〜〜ん!(笑)
最後は会場から
「『なんでこんなことしてるんやろ』って言うたんと違うか」と
ヤジが飛んで、大笑いになった。




『背中』
♪「潜水艦!!」と俺を乗せて潜った♪
これは私も覚えのあること…勇造さんもそうしてもらってはったんやと
いつも懐かしく思うフレーズ。

♪ビルマに送った菊の花 
 煮ても焼いてもまだ足りん♪
こんな思いをするのはもうやめにしたい…




ネックの上に手をまわして弦を叩く。
指はそのままネックをするすると滑っていく。


『海の始まり』
最後はお腹にズシーンと響く音で終わった。


アンコール

ジェフベックが来なかった雨の円山音楽堂
(NO WARヴァージョン)
IMAGINE


『ジェフベックが来なかった雨の円山音楽堂』を
NO WARヴァージョンで唄われた。

♪俺の周りには誰も頷くものがいないのに
 だれなんや 闘いをすすめるのは♪
声が突き刺さってくる。




今日は絶対に三人でこのポーズをとられると思っていた。
で、三人が揃わないところがいいところ?(笑)


「今日是非うたいたい唄があって…
俺、人の唄、上手なんですよ」と笑いながら
『IMAGINE』が始まった。
カンチが声を合わせて唄っている。


最後は♪あ〜るき始めたみいちゃんが
            おんもに出たいと待っている〜♪

ほんわかとしたものをもらってライヴが終わった。



最後に何か一言と勇造さんに言われて
寡黙な続木さんが「ほ〜ほけきょ!」と、ひと鳴き。
敬明さんは「NO WAR!」と一言。


終わってからピアノをこっそり見た。
そこにあるのは A|B|C|D|A|B|C|D| というコードだけしかない譜面。
あんなにたくさんのフレーズがみんな体の中に入ってるのかと思うと
ため息がでた。



敬明さんが「これ、写真撮っといて!」と
首にかけたネックレスを見せてくださった。
みんなの平和を願う気持ちがあちこちに重なっている


続木さんのピアノがすごく好きで、この日を楽しみにしていた。
リズムはもちろん、タッチが好き!軽すぎず重すぎず。
勇造さんを丸ごと理解し、そして、いつも勇造さんの呼吸に耳をすませながら
添うように鍵盤の合間に指を滑らせる。
その「添い方」が只者ではない!(笑)
これ以上ない絶妙の「頃合」…出すぎず、引っ込みすぎず…
どんなに激しく弾いても、勇造さんに添うものに仕上がる。
勇造さんも安心しきったように体ごと任せておられる。
「好きにギター弾いたらええで、あとは任せて」…そんな暗黙の安心感が漂う。

ライブの間、「こんな時やし唄いたい曲がある」という言葉が
何度も勇造さんの口をついて出ていた。
今この時にも空から降ってくる爆弾に怯えている人達がいる。
それが喉に引っかかった骨のように、いつも気にかかる。
このことをおいて、唄えない、聴けない…そういうライヴだったと思う。
人類は非暴力によってのみ暴力から脱出できる。
原子爆弾の悲劇によって学んだ教訓はどこにいってしまったんだろう。
ライヴの合間にそんな思いが頭を横切る。
人類の叡智と勇気こそ連鎖してほしいと願う。

こうやって好きな音楽を聴きに出かけられることは、この上なく贅沢にも思える今日この頃。
十分楽しんだ。ちょっと気分も晴れた感じ。
勇造さん、続木さん、敬明さんありがとうございました!


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