Yuzo Gallery Top  ◆2003

2003/1/19



外はあいにくの雨模様。
はじめて行った「のん」は間口の小さな年期のはいったお店だった。





手前がカウンターになっていて、奥に長椅子と机4つが並ぶ
細長い敷地に建つ。
机をとりはらって、椅子を並べ替え
一番奥にステージができあがった。

そこへ相変わらずの大荷物で勇造さんが元気に入って来られた。
今日はJ200とリュック、それにCDやTシャツのはいった
大きな手提げ。
リュックが膨れてないだけで
もしかして旅に出はる時と同じいでたち…?(笑)
1部

高野グランドマンションのブルーズ
雨のブルーズ
大文字
ある朝高野の交差点近くを兎が飛んだ
サラ金ブルーズ
北海道の朝
青函連絡船
長崎帰り
満月
チャオプラヤ河に抱かれて


ここはまさに高野の交差点辺り…ということで
『高野グランドマンションのブルーズ』で幕開け…これ以上ない選曲。
一気に『雨のブルーズ』まで2曲演奏したあと
客の顔を見渡して、遅い新年の御挨拶。
「今日は顔ぶれの感じからすると、新年会みたいやなあ」とにっこり。

「僕にはいろんなファンが日本中に、世界中にいるんやけど
その中で一番高齢の方が住んでおられるのがこの京都シティ。
年齢は80少し。」というMCで
私の横にいらした石田さんを紹介された。
そして石田さんの好きな曲を続けて3曲唄われた。




『大文字』はいきなりトップスピード。
いつもとギターのカッティングが違う。
アップテンポで力強く、この日の中で一番よかったと思う。
思わず、迷惑顧みず一緒に唄ってしまった。
何度聴いても覚えられない『うさぎ』…石田さんは諳んじて
一緒に唄っておられた。
「好きな3曲目(サラ金ブルーズ)を聞いた時はびっくりして
今日は是非唄わんとあかんとおもて」と
『サラ金ブルーズ』がはじまる。
渋い曲がお好きなんやね、石田さん。(^-^)



「今日は京都のライヴではあんまり唄わへん唄を」と
『北海道の朝』
ハーモニカが和音でボワ〜ンと入って
目を閉じれば北海道の情景が見えるよう。
ほんの1メートルほどの手を伸ばせは届きそうなところに座ったので
唄と一緒に息遣いも聞えてくるようだった。




今年勇造さんが正月に決めはったこと

@物をゆっくり噛んで食べようということ
A大きな声で唄おうということ

「そんなつもりでいますので、今年もよろしくお願いします」




勇造さんの旅の唄はいい。
どう表現したらいいのか…
メロディーにおおらかな性格が見え隠れするように思う。

『青函連絡船』
確か去年の長野のライヴ以来、よく聴くように思う。
♪青森止まりでは戻りたくなくて
  今青函連絡船に乗りかえるところ♪
ラストのハープが激しい。
そのまま『長崎帰り』の激しいアップテンポに続く。
そしてギターと格闘するように終わった。
すごい…としかいいようがない。




『満月』 隣で石田さんが小声で唄っておられた。

「生で唄えるのってええなあ」と言いつつチューニング
『チャオプラヤ河に抱かれて』

舐めるように滑るように手が指板の間を駆け巡る。

カンチが照明係を仰せつかった。
と言っても、裸電球を緩めたり締めたりするだけだけど…の係。^^;)




『マダムデカ』
客の一人に自分のカズーを渡して…
吹き慣れておられないようで四苦八苦して
ぷうぷうと心細いカズーの音がする。(笑)
思わず、勇造さんがぶるぶると唇震わせてカズーの真似をされながら
お茶目に唄われた。

2部

マダムデカ
ギターが友達
BLUES FOR どんと
小松ちゃん
布団
憧れのジャマイカ
花の都ペシャワール
ユリカモメ
夜を重ねて
行方不知


 「今日は元ギター少年がいっぱい来てくれてるみたいで
 みんなの目が輝いているよ」
 と言いながら『ギターが友達』
 ギターを立てて耳のあたりまで持ち上げて弾かれている。
 勇造さんはギターに耳を当てて
 音を肌で感じておられるというのが判った。


Gチューニングに曲名を『山本シン』と勘違いしたカンチ。
それを聞きつけた勇造さんが「ちゃうねん…笑」と
ビールを飲み干したコップを使ってボトルネックがはじまった。
めちゃくちゃブルージーな唄『BLUES FOR どんと』
その姿だけでかっこいい!





『小松ちゃん』
勇造さんの歴史を垣間見るような曲。
 勇造さんがギター少年、中年を大事にしてくれはるのも
 こういう歴史があるからかもしれない。



「今日カップルで来てくれてる人達に特に贈りたい曲」と『布団』
ちょっとかわいいフレーズが並ぶ。
「西川のコマーシャルに使えへんかなと思て…笑」なんて言いながら
軽快に唄は続く。
「一人で寝てて暖まるものがないという人は…”湯たんぽ”ですよ」
という一言が大いに受けた!この日のヒットでした!!(笑)

もう1曲、体のどこかでリズムを取ってみんなで暖まろうと
『憧れのジャマイカ』
勇造さんのギターの伴奏に合わせて、みんなが体をぱたぱたと叩く。
客を乗せるのがほんとにうまい。
曲に合わせて勇造さんの体が唸っている。
「俺も寒い日はギター弾いて自家暖房するんです」




PAなしということで、マイクを気にせずに
自由自在に動きまわる勇造さん。



 『花の都ペシャワール』
 こんな至近距離でのペシャワールは初めて。
 どうやってギターを叩き、弦を叩いておられるのか、その時左手は…
 手元に釘付けになった。
 右手の平、手首に近いところの使い方に注目。

 『ユリカモメ』
 聴いた事がない曲だった。
 この日「のん」までの道のりでユリカモメを見てこられたのだろうか。
 ♪世界をまるごと 信じたいだけ♪
 怒ったようにギターとハーモニカが絡み、バシッと終わった。

 『夜を重ねて』
 ♪ふと気付くと30年だった♪


「あと何年かすると米寿になられるので、
その時は石田さんの家で米寿のライヴをすることになってます。
今日は(石田さんの好きな)3曲ちゃんとうとたし…」と言う勇造さんに
「私、『行方不知』が聴きたかったんだけど…」と石田さん。
思わず笑いと拍手が起こる。
勇造さん、「ここで唄わな男がすたる!」と
一旦置きかけたギターを持ち直して『行方不知』を唄われた。
石田さんのおかげで私達も得したし、勇造さんも男がすたらへんかったし
みんな良かった!良かった!(笑)



アンコール

もう春かな
GIBSON J200
再びカズーが加わって『もう春かな』
唄いながら、受付け、主催者、お店のママ、遠路の客にお礼を。

当たり前かもしれないけど、明るい曲の時は声まで明るく軽やか。
意識してか、それとも気持ちを込めるとそうなるのか
唄い分けておられる。声が違う。

「年に2回くらいは“のん”でやりたいなあ。
生で聴いてもらえるのは嬉しいさかいに。
今日はギターも喜んでるわ」と『GIBSON J200』
最後に弦がブチッと切れた。
「ばっちりや!」と笑いながら暖かなライヴが気持ち良く終わった。





終わってから机や椅子を並べ替えて輪になり
お店に置いてあったギターを持ち出して
みんなが適当にギターを弾き始める。
カンチのブルーズに合わせて
お客さんの一人が冴えたアドリブをつけてくれる。
勇造さんもリズムに乗ってはる。
たまらなくなったのか、『オールドマンブルーズ』を
ゆっくりよたったブルーズに仕上げて唄ってくださった。
楽しいオマケが付いた。

京都の北…大文字が控える寒い土地の
ほんの小さな一角での暖かいライヴだった。
何より、人と人とが暖かく交流できたし
そこでやっぱり勇造さんが欠かせない存在となっていた。


上機嫌の勇造さんを見ているのは嬉しい。(^-^)




inserted by FC2 system