Yuzo Gallery Top  2002




2002/9/27



水不足の中、恵みの雨が降りそうな夕方だった。
「ケメコはうす」は初めてだったけど
拾得の近所にあるということだったから、気楽に車を走らせたら
そこは京都の路地・・・細い細い道に電信柱・・・
車の入るのを拒む。
四苦八苦しながらやっと見つけた「ケメコはうす」
まさに京都の町家・・・ひっそりと明りが灯っていた。


玄関のたたきを上がるとそこはもう家の中。
綺麗に改装されていたけれど、典型的なうなぎの寝床の町家。
2階で勇造さんらしき声がしている。なんか家にいるみたい・・・(^-^)


最初は主催者の澤田さんが2曲。
あの一世を風靡した「ケメコの唄」と
「女と男」(「男と女」のパロディ)を歌われた。





そのあと、二階からトントントンと勇造さんが降りて来られた。
向き合って私の顔を見ると、おっ!て手を挙げてくださった。
開口一番「僕の生まれた家もちょうどこんな感じやったし、
なんか家でやってるみたいやな」とニッコリ。
用意された椅子に座って、寛いだ姿でライヴが始まった。
聴いている私達も家のリビングで聴いているような贅沢な感じ。
『そんなんやない』が始まった。


         1部

1.そんなんやない
2.スイートホーム京都
3.大文字
4.ある朝高野の交差点近くを兎が飛んだ
5.ハンクウィリアムスを聴きながら
6.花の都ペシャワール
7.NO!WAR!
8.オールドマンブルーズ
「僕の一番“若い”ファンの石田さんが来てくれてはるので、
石田さんの好きな唄を・・・」と
85歳になられる石田さんへ
『大文字』『ある朝高野の交差点近くを兎が飛んだ』を
続けて唄われた。
その間、石田さんも声を出して唄っておられた。
あの難解な『兎』も諳んじておられたのにはびっくりした。

小さな体が兎と一緒に跳ねているよう・・・(^-^)


「コンサートの合間にアジアに行くんやけど・・・」とペシャワールの話。
「ペシャワール」というのは「花の都」という意味だそう。
綺麗な名前やね。




「コーン!」という余韻の中の『花の都ペシャワール』
6弦全部を右手でボンと叩いて、
それを左手でシャキっと押さえて消す。
合わせてJ200の腹を叩く・・・
その合間にメロディーが流れる・・・
全ての音と余韻が重なっていく。
じっと見ていると、まるで魔法のよう。
ギターが自在に音を膨らませていく。
ギター1本だということを忘れる。
気が付くと私も息をこらしていた。



 ケメコの唄が流行っていた頃、勇造さんは高校生、澤田さんは大学生で
 その何年か後に2人とも学校を除籍になったのが共通点だそう。(笑)
 「退学」より「除籍」のほうがなんか格好ええやんね・・・・やって・・・・(笑)
 ちなみにYuzo Bandのメンバーも、ほとんどが除籍になってるって・・・・
 わはは。(^Q^)/^ ええね。これ。

 「いつも【曲がりくねった真っ直ぐな道】を歩いてきたように思う」
 とおっしゃった。いい言葉やな・・・
 勇造さんしか言えへん、勇造さんらしい言葉やと思った。
 これ、次のイベントのタイトルに使えそうですよ・・・勇造さん!
(^-^)

2部の頭で、堀川寺之内のお坊さん、佐野さんも交えて
3人で京都談義が始まった。
佐野さんは、西陣ネットワークを立ち上げて
町家に住みたい人と、貸したい人の仲人をされ
「町家クラブ」を作っておられる。
澤田さんも佐野さんに会って
この町家を改装して使われるようになった。

昔は家に防空豪があったとか
あんなもんで生命が守れるはずがないのに、とか
長屋の場合は、その天井裏をずっとたどって行けば
町の角まで行けたとか
町家は隣の声が聞えてきてええ、とか
3人の町家談義が始まった。
聞いていたら、なんか私まで町家に住みたくなってしまった。(^-^)
実際にケメコはうすも柱が隣の家と共有していたりするし
おもしろそうな話がまだまだありそう・・・





というとこで、2部が始まった。
初めて聴く『不思議なおばあさん』
「僕もちょっと関係ある唄で」って・・・お母さんの唄でした。(笑)
続いて『瓦屋根続く…』
  ♪節分の日に願いを込めたホウラクが今日割られる・・・
     ♪からだひとつ頼りの人達が 辛いおかずで飯を食う
その情景が浮かんでくるようないい唄でした。
途中で、時計のボーンボーンと時刻を知らせる音が入ったけれど
それもさして違和感がない。

「よくタイに行くんやけど、また時間ができると戻りタイ!」と
寒いギャグを飛ばされた勇造さん。
みんながずっこけていたら(笑)
「30歳くらいの頃は、受けそうなシャレを言わんとアカンとおもてたけど
この頃やっと普通にシャレが言えるようになった」と言われて
またまた大笑い。すごく自然体。
そして、私もすごく楽な気分・・・こういう気分は伝染するんやね。(^-^)
      2部

1.不思議なおばあさん
2.瓦屋根続く細い道
3.白アリブルーズ
4.ブンミー
5.それで十分
6.振り返るにはまだ早すぎる
7.時代が変わっても





それまでなんとか座っておられた勇造さんだったけれど
『それで十分』になってついに立ちあがられた!
思わずマンマさんと顔を見合わせた。「ついに!」って。(笑)
きっと堪えきれずに立ち上がられるだろうって思っていた。

ほんとに激しく優しい唄が町家を覆い尽くした。
♪生きていることが最高 
      ♪今、生命がある それで十分

他に何もない・・・そう思った。
勇造さんとギターがひとつになって
ライヴのクライマックスを迎えた。
1.唇かみしめて
2.チャオプラヤ河に抱かれて


人との距離感、人と争わないということなどは
京都の、この隣と近い町の広さから教わったように思う、という勇造さん。
時代とうまくずれてきたようにも思うともおっしゃった。
今の時代、それに乗ることも大変だけれど
そこからうまくずれることはもっと難しい。
自分の頭で考えて信念を持って生きていかなアカンって教えてもらっているように思った。

別れ際にご挨拶したら「10月5日はみんなと楽しんでや」って
思いがけず、こちらのライヴにエールを下さった。
この前の南風楽天で少しお話しただけなのに、日にちまで覚えていてくれはったのには感激!
勇造さんの言わはる人との距離って、きっとこの「近さ」「ぬくもり」なんやねんなあ・・・
そう思いながら、ほこほことしながら雨の中を走った。

また元気をもらいました!(^-^)

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