KanchiGallery 2014

   

2014/3/29

朝田酒店

場所は大阪の真ん中、谷町4丁目の難波宮公園跡の近くの朝田酒店。
そこは、うちの近所の朝田さんのご実家で、ご長男が続けておられる酒店。
そのガレージ兼倉庫を使ってライブをやりませんか、とお誘いがかかった。



朝田さんは、結風で行われていた「ひゃっきんライブ」の主催者でもあり
その精神を受け継いで、今回のライブを開催された。
500円の入場料に1ドリンクまで付いているのは、そういう訳。


 

公園の向かいの朝田酒店。
いつもはガレージにおさまっている小型車が
今日は道路に放り出された。(笑)

 

酒屋さんだから、お酒は売るほどある。(笑)
おつまみは乾きものを少々用意。

店舗の奥の倉庫は
両側に空き箱が積まれ、使わなくなった道具が積まれ
動かなくなった自動販売機が置かれ、更にたくさんのゴルフバックも並び
まざに雑多な不要品に囲まれた真ん中のコンクリート打ちっぱなし部分を開けて
ビールケースを並べ座布団を置く。
まだまだ椅子が足りないので
アチコチからかき集めて、なんとか会場設定を終える。



どれだけお客さんが来てくださるか、少々気になっていた。
何しろ、時は年度末。
目が回るほど忙しいという声がアチコチから聞こえていた。
仕事が終わらないかもしれないって。

開けてみると、満員御礼。
仕事を中座して、あるいは休んで来てくれた人。
思わぬ遠方から来てくれた人。
座るところもなくなってきて、あとからあとから椅子を足し
倉庫はびっしり一杯になった。
本当にありがたいこと。



ざっくばらんな景色の中、ほっこりした気分でライブは始まる。

1部

今日はようこそのBlues(即興)
高槻の楽器屋
ブラウンくん
1本いっとこと思うだけでよかったのに
なみちゃんとサンタさん
風に吹かれて
深夜高速
500マイル
 

一部の最後は、主催者朝田さんのリクエストで
朝田さんの教え子大黒くんの笛と一緒に『500マイル』

 

朝田酒店のお馴染みさんの、温泉大好きなおじさん宮田純一さんが
わざわざ30近いプレゼントを持って来てくださった。
温泉好きが高じて、本までだしておられる。
予定外の急な申し出だったので、朝田さんも把握できてないという
ライブならではの展開に突入。(笑)

ということで、2部の頭に番号札とプレゼントの交換会。
それぞれに温泉のチケットなどが配られた模様。
カンチは出演者ということもあって
「関西日帰り温泉50+5」という著書を戴く。


 

出鼻をくじかれた結風亭多恵近ちゃん(!)
高台に上がって落語を一席。
またカンチのコラボもやってほしいな。







2部

ヘルペス
上海
親父が住んでいた街
Bluesを忘れそうな夜
おっさんのBlues
おばはんのBlues
康のBlues
酒屋さんの倉庫で

『Bluesを忘れそうな夜』のあと
さあこれから勢いつけていつもの歌を…という流れを遮り
突然「小泉純一郎」のかなり大きな人形が出てきて
骨董品で入手した朝田酒店のお兄さんが
自慢げにそれを躍らせ披露。

一瞬なにが起こったのか、え?(+_+)と目を見張る中
主催者朝田さん以外は誰も知らない人形ダンスの展開に。
ひゃっきんライブで鍛えた朝田流に突入。(笑)

歌の流れを止められたカンチ。
さあ、どうするんかなと思っていたら
ニヤニヤ笑いながらライブを続けた。
たぶん調子が狂ったと思うけれど
場を自分に戻そうと歌い始める。
だいぶ逞しくなった。(笑)

 アンコール

マンゴーシャワーラブレター
即興




最後には花束を戴く。

 

いつからあるのか、使われなくなった瓶の自動販売機。
昔懐かしいバドワイザーのお姉さんたちのポスター。
カンチは歌っている間、これに気が散ったそうな。(笑)



あちこちに大きな酒屋さんができて
安売りを競い、缶ビールが幅を利かせるようになった。
うちの山崎辺りでも、サントリーのお膝元という土地柄だから
昔は酒屋さんがたくさんあったのに
今やそれも淘汰され、コンビニになったりもしている。
景色が変わった。
ちょっと気を抜けば、客は大型店舗に逃げて行く時代。
それでも、道で会えば丁寧にあいさつをしてくれるので
定期的に御用聞きに来てくれる酒屋さんとの付き合いを止めることができない。
顔の見えた付き合いの向こうに、値段ではないものを見てしまう。

朝田酒店にも同じような波が襲っているようだけれど
お馴染みさんが多いようで
店の中に小さなテーブルとイスがあって
そこで買ったばかりのお酒片手に、用意して来たアテをつまみながら
おじさんたちが集まってくる。
家ではちょっと邪険にされても(!)
ここに来るとみんな和やかにお酒が飲めるんだろう。
満面に笑みをたたえながら、酔っ払いの会話が繰り広げられている。

そんな場所の倉庫を使ってのライブだからか
会場がひょろんと肩の力が抜けている。
音は今ひとつ、酔っぱらった人の話し声も聞こえるし
トイレは舞台横を通って家にあがって行くことになるし
腰かけるのはビールケースやし…それさえ足らないし。
どうしよう?ということがいろいろ出てきたけれど
ま、なんとかなるかな…そんな気持ちが湧いてくる。
途中で何度も思わぬ展開になって
キョトンとすることもしばしばだったけれど
それをみんな飲み込み許す場所だった。
まさに「場」の力、「人」の力。

カンチにとってもよい経験になったんやないかなと思う。
セットリストにかなり悩んで苦心して迎えたライブだったけれど
本番を迎えて、それは見事に「予定外」の出来事で狂った。
昔だったら、それでライブが混乱するところだけれど
だいぶ逞しくなったのか
本心はどうあれ、ライブを元に戻せる力がついたように思う。

結局、「場」も「人」の出会いにも、柔軟に対応するには底力が要る。
そうやってミュージシャンとしても、人としても鍛えられていくんやね。
そこにいる聴き手とコミュニケーションを交わさないと
自分さえ歌えばいいという、独りよがりになってしまう。
百戦錬磨のミュージシャンに学ぶべきことは多い。
生きて行く上で「臨機応変」というのはとても大事なんや…
もしかしたら、今の時代に一番問われている力かもしれない。
そんなことを感じたライブだった。

お忙しい中ご来場くださった沢山のみなさん!
本当にありがとうございました。
また楽しい時間をご一緒出来る日を楽しみにしています。





   

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